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  • 2014/11/21 掲載

ホンダ注目の自動運転技術、センサーフュージョン・ETC2.0・グリーンウェーブ走行支援

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本田技研工業(以下、ホンダ)では、衝突安全・衝突回避・予防安全などの技術を経て、車車間通信や路車間通信を利用したインフラ協調による安全運転システムの実用化を進めてきた。本田技術研究所の横山利夫 上席研究員は、「これらの先進安全技術の延長線上に、我々は事故ゼロの社会が来ると考えている」と述べ、自動運転がもたらす新たな価値や、完全な自動運転へ向けた技術とシステム構成、今後の技術的チャレンジについて解説した。

一体何が変わる?いま自動走行や自動運転が求められる理由

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本田技術研究所
4輪R&Dセンター
第12技術開発室
上席研究員
横山 利夫 氏
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 自動走行や自動運転が求められる背景には、交通事故を減少させたいという社会的ニーズがある。1970年に「第一次交通戦争」と呼ばれるほど事故が増え、死者数もピークを迎えた。その後の努力により事故数は減少したが、1990年代初頭に死者数が再び増加。「Telematics Japan 2014(主催:Telematics Update)」に登壇した横山氏は「事故の実態はドライバーのミスが90%以上を占める。近年は政府目標の5500人以下の死者数をクリアしたが、事故ゼロに向けた施策がなく、手詰まり感がある」と指摘する。

 国内では高齢化も深刻な問題だ。日本の総人口は1億3000万弱だが、65歳以上の割合が25%を超えた。「高齢先進国の日本では、地方在住の高齢者に対して、移動の自由をどう確保すべきかという大きな課題がある。モビリティ・プアという問題を解決する1つの手段としても自動運転に光が当たっている」(横山氏)。

 交通渋滞・経済損失という側面での社会的要請もある。事故者の50%が65歳以上であり、事故の経済損失は6.7兆円にも上る。渋滞による損失は年間38億時間で、金額換算すると12兆円になる計算だ。燃料消費に関しても年間で約4700万リットルが消費されている。

 そのような状況で自動技術も着実に進化してきた。ホンダは2003年に「HiDS」(Hondaインテリジェントドライバーサポートシステム)を開発した。

「当時から高速道路の車線を維持しながら、まっすぐに走る技術はほぼ確立されていた。ただし現在の自動運転と決定的に異なる点は、目的地を設定し、そこに到達するまでの各種計算処理、行動計画がなかったこと。ローカライゼーションや走路環境認識、それをベースにしたパス・プランニングなどの技術を積み重ね、現在の自動運転の検討を進めているところだ」(横山氏)

 最新動向としては「センサーフュージョン」の技術が実用化されたことが挙げられる。

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最新技術の動向。センサーフュージョン、レーンウォッチ、車車通信/路車間通信などの先進安全運転システムが実用化されている

 対象物の属性や大きさの認識にカメラを、また位置・速度の認識にミリ波レーダを使い、情報をフュージョンさせ、より高度な安全運転を実現。後側も同等技術が実用化された。たとえば「レーンウォッチ」は、後側方のサイドミラーの死角をカバー。「ブラインド・スポット・インジケータ」も後側方から近づく物体を検知。またリアワイドカメラは180度の画角を有し、後方の安全確認に寄与する。

「ただし自律センサーでは網羅できない見えにくい危険もある。そのため360度をカバーする形で、車車通信や路車間通信の技術を重ね合わせて安全性を高める必要がある。このような技術の上に立ち、自動運転が実用に向けて進展している」(横山氏)

 コネクテッドに関しての実用技術も進んでいる。従来のナビゲーションでは、出発地と目的地の近傍しか最適な計算ができなかった。しかし現在は、インターナビ・サーバにより、すべての走路状況を考慮したルート検索が可能になった。現在は、普通にセルラー回線でクルマとサーバがつながる時代だ。

「コネクテッドでは、ビッグデータの活用など新産業への期待もある。コネクテッドや自動運転が連携しながら動いている。B2Cでは顧客に対して付加価値を直接提供し、B2B2Cではデータを基に他業種・他社と協業しながら付加価値を提供できる」(横山氏)。

【次ページ】政府が本腰、海外に負けていない日本のITS/自動運転の現状
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