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  • 2014/02/18 掲載

スタンフォード大学スヴェン・ベーカー氏が語る自動運転の現実、無人走行は2020年に

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期待が高まる自動車の「自動運転」。その鍵を握るキーパーソンの一人が、独BWM出身で、次世代の自動車研究を行っているスタンフォード大学「CARS(Center for Automotive Research at Stanford)」のエグゼクティブ・ディレクターをつとめる、スヴェン・ベーカー(Sven A. Beiker)氏だ。「コネクテッド・カーEXPO」の基調講演に登壇した同氏は「自動運転の姿は、必ずしも我々が思い描いているようなモノにはならないかもしれない」と指摘する。期待と現実の狭間で揺れ動く自動運転の未来はどうなっていくのか、ベーカー氏が自動運転の実像と現実的な将来像について解説した。

自動運転に対する期待と課題

photo
スタンフォード大学
CARS(Center for Automotive Research at Stanford)
エグゼクティブ・ディレクター
スヴェン・ベーカー氏
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 自動運転とは、コンピュータが人の代わりに運転機能を代替すること。そのメリットの1つは、まず安全性だ。

「交通事故による死者の数は全世界で毎年120万人にも上る。とても受け入れられない状況だ。その原因の90%以上が人為的なミスだ。そこでドライバーに対して何らかのアシストを行う、自動化機能によって事故を大幅に減らせるだろう」(ベーカー氏)

 もちろん交通の流れに沿って自動運転で移動できければ、エネルギー効率もよくなり、移動距離も長くなる。空力学的にロスをなくせるし、応答時間も短くなり、車間距離も縮められる。高齢化社会になると、多くの年寄りがクルマをうまくコントロールできなくなる。活発なライフスタイルを維持するためには、いっそうの自動化が求められるだろう。

 若年層にもメリットがある。将来的に自動運転によって、子供たちが一人で目的地に移動したり、若い世代がより安全に移動できるようになるかもしれない。自動運転によって利便性が高まり、移動中に人が休んだり、メールをしたりすることも可能になる。

 では自動運転を実現するための具体的な要素技術は何だろうか。まずGPSの受信装置が必要だ。これにより位置情報を活用できる。レーザースキャナー、レーダー、カメラなどのセンサ技術も要る。クルマにナビゲーションシステムが搭載されていたとしても、目的地に向かう途中に障害物があるかもしれない。そこでセンシングが重要だ。またコンピュータのような知能化された機能も求められる。ステアリング・ブレーキ・スロットルの自動化などは必須の機能だ。

 とはいえ、自動車が走行する既存道路に自動運転車を投入した場合、従来どおりに機能するのかという疑問もある。そのためにはインフラ整備のために、多額の投資が必要になるかもしれない。たとえば車・車間通信(V2V)や、車・インフラ間通信(V2I)など、新たな通信の整備が必要になる可能性もある。

「自動化しても通信がなければ意味がない。逆に通信がなければ自動化はできないだろう。将来、自動走行ができるようになるには、それなりの投資が必要だ。また、自動運転車でも、常に状況の監視が必要ならば、便利になったとはいえないだろう。現行の技術では、一般に購入できる価格にならず、ビジョンと現実が欠け離れるリスクがある」(ベーカー氏)

スタンフォード大学と自動車メーカーの取り組み

 ベーカー氏は次に、自身が手がけるスタンフォード大学のCARSでの取り組みについて紹介した。

 CARSのディレクターであるクリス・ガーデス氏は、ロッキー山脈の険しい道での完全自動運転に成功したという。同氏が提案するのは、クルマを運転する人の機能を検証しながら、自動運転を改善することができないかということ。事故が人為的に引き起こされるからといって、人はクルマの運転を知らないというわけでない。事故の発生には、疲れたり、注意が逸れたりと、いろいろな要因がある。

「しかし、もしプロのドライバーの運転テクニックを自動運転車に取り入れられたら、大変役に立つに違いない。ロボットのレースカーをつくるのではなく、どれだけ自動走行を改善できるのか考えている。たとえば、横滑り防止装置や車線逸脱装置などを組み合わせ、運転のしづらい厳しい環境でも安全な走行を実現しなければならない」(ベーカー氏)

 では、自動車業界ではどういう取り組みがなされているのか。ベーカー氏は、まずグーグルの取り組みとして、盲目のドライバー(視力の95%を失ったスティーブ・マハン氏)が自動走行によって移動し、ドライブスルーでハンバーガーを買うというビデオを紹介した。



【次ページ】完全無人走行は2020年以降になる
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