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世界の板ガラス市場でトップクラスのシェアを誇る旭硝子(以下、AGC)。2014年12月期の売上高は1兆3483億円、営業利益は621億円で、グループ全体の従業員数は約5万1100名を数える。同社は2015年2月、新たな経営方針「AGC plus」を策定し、すべてのステークホルダーに「プラス」の価値を提供すると謳う。ここで掲げられた経営目標を達成するために同社のITが果たす役割とはどのようなものなのか。AGCのグローバルITリーダー 情報システムセンター長で、AGCグループ情報セキュリティ管理責任者もつとめる神庭基 氏に話を伺った。
(聞き手は編集部 松尾慎司)
高い技術力を持つ多様な事業分野を融合して戦えるのが強み
──貴社の事業内容と強みについてお教えください。
神庭氏:当社の事業は、ガラス、電子、化学品、セラミックスその他の大きく4つの分野に分かれています。ガラス事業では板ガラスや自動車用ガラス、電子事業では液晶など表示デバイス用のガラス基板や電子部材、また化学品事業ではフッ素樹脂や塩化ビニル原料、セラミックスその他の事業ではセラミックス製品などを取り扱っています。
売上全体に占める各事業の比率としては、ガラス事業が53%、電子事業が22%、化学品事業が23%、セラミックスその他の事業が2%で、地域別では日本/アジアの売上シェアが67%、米国10%、欧州23%となっています。
たとえばガラス事業の中で板ガラスは世界トップクラスのシェアを持っていますが、それを支えているのは何と言っても技術力です。我々は大型の窯でガラスを水平方向に引き出して成形する「フロート法」という製造技術にこだわり、世界で初めてフラットパネルディスプレイ用ガラス基板の製造にフロート法を導入しました。
元々フロート法は建築用ガラスの製造に使われていた技術で、それをディスプレイ用のガラス製造にも応用したのですが、このように各分野における高い技術力を融合して戦えるのは、世界でも我々だけだと自負しています。
──経営方針「AGC plus」を発表された際には、自社の強みとして「多様性」も謳われています。それが4つの事業分野への取り組みであり、その根本を支えているのが技術力ということでしょうか。
神庭氏:おっしゃる通りで、我々はガラスの製造技術だけでなく、フッ素樹脂製品やセラミック炉材を作る技術においても、それぞれが世界一だと考えており、こうした最高峰の技術力が、3か年にわたるAGC plusで掲げた「すべてのステークホルダーの皆さまにプラスの価値を提供する」ための拠り所となるものだと考えています。
守りを固めるITから攻めのITへシフトすることで、全社利益に貢献する
──AGC plusでは2017年度の売上高1兆6,000億円、営業利益1,000億円以上、ROE 5%以上などの高い目標も掲げられています。これらを達成するために今、情報システム部門に求められている役割とは、どのようなものでしょうか。
神庭氏:求められている役割というよりも、我々IT部門が「果たしたいと考えている役割」といったほうが、私の中ではしっくりときます。確かに経営サイドにはこうして欲しいという思惑もあると思いますが、私としては、「IT部門が生まれ変わらなければAGCに貢献できない」という強い思いがあるのです。
それは端的に言えば、「守りを固めるITから攻めのITへ」と変化していくことで、それを実現できたIT部門こそが、事業拡大に貢献する、あるいは全社利益に貢献することができるのだと思います。
──御社の情報システム部門はどのぐらいの人員がいて、具体的にはどのようなプロジェクトを手がけてこられたのでしょうか。
神庭氏:AGCには、日本/アジア、米国、欧州それぞれにIT部門があり、グローバル規模で約500名のメンバーがいます。このうち日本/アジアを統括しているのが我々情報システムセンターで、約100名のスタッフがいます。
取り組んだプロジェクトとしてはまず、グローバルのコミュニケーションを活性化させる目的で、メールなどのコミュニケーション基盤は標準化を図り、セキュリティの底上げも行ったことが挙げられます。同プロジェクトでは、Active Directoryをグローバルに連携し、世界に散らばる5万人の全従業員のメールアドレスを検索できるようにしたり、SharePoint 2013によってポータル/文書管理/SNSといったコミュニケーションインフラを整えました。さらにどの地域に行っても、1つの認証基盤でユーザー認証を行うことができる仕組みも構築しました。
また当社はカンパニー制を敷いており、それが先のガラス、電子、化学品の3つですが、この各カンパニーで、グローバル規模での基幹系システムの構築に着手し、あと1~2年で終了する予定です。日本/アジアではSAPを採用して、各カンパニーをまたぐ経理/購買システムの統合も開始しました。
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