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- 2015/10/08 掲載
コマツ CTO 髙村氏のノウハウ「チームワークとバランスで研究開発者の力を引き出す」
アクト・コンサルティング 取締役
経営コンサルタント
大手コンサルティング会社を経て、現職。
製造業、情報サービス業などの、事業戦略、IT戦略、新規事業開発、業務革新、人材育成に関わるコンサルティングを行っている。
公益財団法人 大隅基礎科学創成財団 理事。
関連著書『正しい質問』アマゾン、『イノベーションのリアル』ビジネス+IT、『ダイレクト・コミュニケーションで知的生産性を飛躍的に向上させる 研究開発革新』日刊工業新聞、等
アクト・コンサルティング
Webサイト: http://www.act-consulting.co.jp
何でも言える雰囲気でチームワークを高める
髙村氏:研究開発で高いパフォーマンスを上げるためには、チームワークとバランスが大切だと思っています。マネジメントの視点からチームワークを維持するために必要なことは、現場の実態を見える化すると共に、情報や人脈が豊富なマネジメントや上級社員が、必要な情報を一般の社員に分かりやすく説明することが大事です。そして適材適所を考えて人と人との「つながり」を作っていくことが重要だと思います。当社の製品開発には技術者同士のすり合わせが重要で、適切な人と人とのつながりがあれば、力を合わせてパフォーマンスを上げることが可能になります。
──現場の実態を捉えて、つながりを作っていくために重要なことは何でしょう。
髙村氏:何でも話せる雰囲気作りが重要です。研究開発部門では、例えば役員が参加する研究開発者の検討会などで、ワイガヤで何でも言える雰囲気作りを目指しています。仮に悪いことを言ってもお咎め無しとしており、今では若い人もどんどん発言するようになりました。また、当社では歴代のトップが、悪いニュースを早く伝えることの重要性を繰り返し社員に言ってきています。
──確かに、悪いことを含めて現場の実態が分からなければ、どのようなつながりを作ればいいか分からないですね。しかし、何でも言える雰囲気を作ることは簡単ではないと思いますが。
髙村氏:ビジネスとしてまずは業績を上げる、つまりアウトプットが出ているということが重要なポイントであり、ベースになります。業績やチームとしてのアウトプットが悪ければどんなに頑張っても雰囲気はなかなか良くなりません。開発部隊としては良いものを作り、作ったものが売れることで業績を上げることが大事です。何でも言える雰囲気作りとアウトプットを出すということはある程度連動するものだと思っています。目指す雰囲気を作り上げるには、良いアウトプットを出すことが重要です。一回良い経験ができれば、一時的に業績が悪くなったとしても、また次につなげることができると信じることができます。
髙村氏:マネジメントとして、長く関与した部門や人であれば、悪いニュースもおのずと分かる部分もあり、例えばワイガヤで、こんなことは起きていない?と水を向けることが出来ます。 一方、自分が普段見ていない組織の場合、組織のキーマンに事前に話を聞いて、悪いニュースを含めて実態を押さえておき、あとは担当社員にここはどうなっているの?と水を向けるのも手です。このようなことを積み重ねる中で、雰囲気というものはできていくのだと思います。もちろん、悪いニュースを言った時に、何でそうなるんだといった非難をしないといった基本的なことも含めて、雰囲気作りはマネジメントの重要な役割だと思います。
──なるほど。おっしゃる雰囲気作りが出来れば、後は人と人をつなげられる訳ですね。
髙村氏:ええ。しかし昨今は、外部の情報や技術を積極的に取り入れる必要がありますから、単に社内の人財がつながるだけではなくて、社外とのつながりを作ることも必要になっています。
【次ページ】 バランスをとって研究開発者の力を引き出す
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