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  • 2012/06/12 掲載

セブンネットショッピングの鈴木康弘社長が語るセブン&アイグループのネット戦略における3つのポイント

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世界で約4万5500店舗、日本では約1万4000店舗を展開するセブン&アイ・ホールディングス。傘下にはイトーヨーカ堂やセブンイレブン、そごう・西武、ロフトなどを抱え、グループ全体の総売上高は約9兆円にのぼる。その同グループでインターネットによる物販およびサービス提供を手掛けるのがセブンネットショッピングだ。東日本大震災後、セブン&アイグループではブランドメッセージとして『新しい今日がある』を打ち出し、セブンネットショッピングをネット事業の中核に据えて“リアルとネットの融合”を目指している。同グループのネット戦略について、セブンネットショッピング 代表取締役社長の鈴木康弘氏が語った。
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自分たちでクラウドを構築していかなければダメ

 富士通フォーラム2012で登壇したセブンネットショッピング 代表取締役社長の鈴木康弘氏は、冒頭、インターネットの普及により小売業界がどのような状況に置かれているのかについて言及した。

「少子高齢化という問題も絡み、小売業は1990年代後半にピークを迎えた。その後2000年代に入り、インターネットの小売業が台頭してきた。売上高は今や百貨店を抜き、コンビニも超えそうな勢いだ。インターネットは小売業に大きな影響を及ぼす時代になってきた。」

 その中で流通業を取り巻くマーケットに変化が起きているという。それが消費者参加のマーチャンダイズ(=商品化計画)だ。ネットの普及によって、メーカー/卸/小売だけでなく、消費者自身もネットに情報を流すようになった。また消費者は何かモノが欲しい時、まずネットで商品関連の情報を収集し、それから買い物をするという形に変わってきた。

「かつてのような川上主導のマーチャンダイズでは、もう成り立たなくなってきたというのが現状。」

 またソーシャルコマース型のプロモーションも登場してきた。かつて小売業が消費者に情報を伝える時には、テレビCMや新聞の折り込みチラシを利用するのが常套手段だったが、今は情報を受け取った消費者がさらにそれをネット上で流通させていく。

「情報の流れを意識したプロモーションをしなければ、お客さまに伝わらない時代になっている。」

 さらにはシステムの在り方にも変化が出てきてる。多くの小売業では自社でシステムを抱えず、アウトソーシングサービスを利用しているのが実態だという。セブン&アイグループも同様で、従来はシステム会社に依頼して、基幹システムやPOSシステムの企画から開発、運用までを担当してもらっていたという。

「業務にとって情報システムが必要不可欠な今の時代、それではもう追いつかない。システム会社とは技術支援を受けるなどの付き合い方にシフトし、自分たちでプライベートクラウドを構築してかなければダメだ。」

ネットショップは業態の垂直統合をもたらし、新しい付加価値を生み出すもの

 こうした変化の波の中で存在感を大きくしてきたのが、ネットショップだ。

 小売業は規模と専門性の違いにより、百貨店/総合スーパー(GMS)/専門店/コンビニエンスストア(CVS)という業態に分けられるが、ネットショップはこの中のどれにも当てはまらない。

「ネットショップはかつての業界を壊し、かつ従来の業態を繋げる存在。業界の壁を破り、業態の垂直統合をもたらし、新しい付加価値を生み出すものだ。」

 そこでセブン&アイグループは、イトーヨーカ堂/セブンイレブン/そごう・西武/ロフトといった業態の異なるグループ企業をセブンネットショッピングで繋ぎ、食品/雑誌・CD/衣料品/日用雑貨といった各社の商品をすべて“コンテンツ”として集約、リアルの店舗と繋いでいくという。

「我々の目指すネットビジネスは、単にネットショップを提供するだけでなく、リアルの店舗とも融合させていく。またネットはメディアとしても機能すると考えている。色んな他社メディアとも連動し、そしてもちろん多くの取引先とも繋がっていく。」

 グループ企業をネット上に集約し、リアル店舗との連動も図ることで、新しいビジネスを興していく。

「そういう形で、グループのビジネスモデルを大きく変えていきたい。本格的にネット事業を加速させていこうと考えている。」

【次ページ】セブン&アイグループのネット戦略における3つのポイント
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