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- 2010/09/08 掲載
【最新電子マネー動向】交通系と流通系の機能を併せ持つ「nimoca」躍進、WAONがシェア拡大--野村総合研究所 和泉隆則氏
電子マネーの買い物が過半数を突破
交通系と流通系の機能を併せ持つ「nimoca」が躍進
野村総合研究所は、2007年から毎年、「電子マネーに関するアンケート調査」を行ってきた。4回目となる調査は2010年6月、札幌市、首都圏(東京、神奈川、千葉、埼玉)、東海(愛知、三重、岐阜)、近畿(大阪、京都、兵庫、奈良)、福岡県に住む18歳以上の男女2250人を対象に実施している。なお、調査対象の電子マネーは、以下の独立系3種、交通系9種、流通系2種、クレジット系4種の合計18種類である。独立系 | 鉄道系 | 流通系 | クレジット系 |
Edy JAL ICクーポン taspo/ピデル | Suica PASMO ICOCA PiTaPa TOICA nimoca SUGOCA Kitaca SAPICA | nanaco WAON | QUICPay iD Smartplus/Visa Touch PayPass |
出典:野村総合研究所,2010 |
和泉氏はまず、電子マネーの保有状況について言及。調査の結果、電車通勤・通学者が多い首都圏では、交通系のSuica(保有率65.3%)やPASMO(同43.0%)が優位に立っていることが分かった。そのほかに特徴的な点としては、札幌市で流通系のWAONとnanacoの保有率がそれぞれ37.6%、23.1%と比較的高く、福岡県で交通系の「nimoca(ニモカ)」の保有率が34.0%と高いことが挙げられる。
他方、クレジット系の電子マネーは総じて保有率が低く、「後払い方式の電子マネーの普及が進んでいない」ことが判明した。
地域別に電子マネーの保有状況を見ると、札幌市では独立系のEdyが保有率39.6%と首位に立つが、前年より14.3ポイント伸ばしたWAONが37.6%と猛追している。また、首都圏では、前述の通り交通系の電子マネーが強い。
東海ではEdyが対前年比6.8ポイント増で保有率32.3%で首位に立つが、札幌市と同様、WAONが対前年比12.3ポイントアップの29.0%で追い上げを図っている。近畿では、Edyの保有率が首位だが、ほかの都市圏と比べると各電子マネーの保有率が拮抗している。福岡県では、nimocaが対前年比20.2ポイントの大幅増を記録。Edy、nanaco、WAONを抜き、保有率34.0%で首位に立った。
nimocaは、西日本鉄道の100%子会社であるニモカが発行する電子マネー。交通系のカードながら、西鉄グループの商業施設で利用できるほか、西鉄グループ以外での一部の商業施設でも電子マネーとしての取り扱いを実施している。「鉄道の利用に便利な交通系の電子マネーと、ポイント戦略で優れる流通系の電子マネーの中間に位置するもので、今後の動向に注目したい」と和泉氏は話す。
電子マネー保有率の対前年比は、いずれの地域でも増加している。特に首都圏では昨年より15.7ポイント上昇し、98.6%の保有率を記録。ほぼすべての人が電子マネーを保有している状況だ。また、そのほかの地域でも7割前後の保有率に達している。
【次ページ】新規保有者の獲得に成功したWAONがシェア拡大
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