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O2Oをビジネスとして捉えた時、実際に顧客の購買に結び付けるための導線をいかに確立するかが重要となる。たとえばコンビニエンスストアやメーカーなどがクーポンを大量に配布して店舗に誘導する施策の場合、一過性の集客となるケースが多く、顧客の固定化にどのように結び付けるのかが課題となっている。今後は、スマートフォンなどのデバイスを活用し、ポイントや会員サービスと連動して、継続的な購買に結び付けるプロセスの確立が求められるだろう。また、期間限定のキャンペーンや店舗の販促の際、Webから店舗に誘導するだけではなく、決済に結び付け、会員IDにより本人性の高いデータの証跡を残すことで、次回の購買につなげることも可能となる。今回は、こうしたビジネスプロセス構築のヒントになる、JR東日本、楽天、イオン、クレディセゾン、ヤフーなどの事例を紹介しよう。
ウォルマートがスマホを活用したショッピング支援システムをテスト
まずは米国の事例から見ていこう。
1.NCR「モバイルセルフチェックアウト」
レジスターやPOS・決済端末を手がけるNCRが、スマートフォンアプリを活用したショッピング支援システム「モバイルセルフチェックアウト」を提供している。
すでに食品スーパーのウォルマートやWoodmansが同アプリを使用してテストを実施。ウォルマートに関しては、当初は数店舗での実験だったが、現在は100店舗まで拡大しているそうだ。
iPhoneにアプリをダウンロードした顧客は、あらかじめ商品登録をしておくことにより、レジの待ち時間を短縮することが可能となる。店舗ではスマートフォンでバーコードを読み取ることで商品登録を行い、サーバから商品情報と販売価格を取得する。
また、たとえばこれまでソーダを購入していた顧客が、別のメーカーや種類のソーダを購入した場合、それが正しい商品かを確認する機能などを提供している。
利用者にとっては、自宅において店舗からリアルタイムに得られるプロモーション情報を利用しながら買い物ができるため、利便性が向上する。また、店舗にとっては、顧客の趣味・嗜好に合った情報を配信することができ、ワン・トゥ・ワン・マーケティングにつなげることが可能だ。
日本でも同様の動きがある。
2.大日本印刷「NFC SMARTSHOPPING」
大日本印刷では、2013年3月に行われた「NFC&Smart WORLD2013」において、スーパーなどに設置したNFC電子棚札に、NFC対応のスマートフォンをかざすことでスムーズな買い物が可能な「NFC SMARTSHOPPING(エヌエフシー スマートショッピング)」を参考出展した。
DNPでは、決済やクーポン、ポイント授受などのサービスを一元管理できる「モバイルWallet」を提供しているが、SMARTSHOPPINGは、この属性情報を活用し、購入額によるステータスに応じた割引価格をスマートフォンに提供して、優良顧客の来店頻度を高めることが可能だ。
従来の売り場では、景品表示法上で二重価格の提示はできなかったが、スマートフォンを組み合わせることでプレミア会員だけに特別割引価格を提示可能になった。また、タイムセールなどの時間に応じた価格設定にも対応している。
デジタルサイネージを活用したワン・トゥ・ワン・マーケティング
今後は、デジタルサイネージを活用したサービスも加速しそうだ。
3.NCR「エンドレス・アイル」
米国においては、NCRがデジタルサイネージを活用した「エンドレス・アイル」のサービスも提供している。
Windows搭載のスタイリッシュなデジタルサイネージの画面を利用して、商品の訴求が可能になる。たとえば、坪面積の狭い限られた店舗でも豊富な商品の訴求が可能であり、店舗の棚にない色違いの商品を分かりやすく説明することができるという。
端末には、レシートプリンター、磁気カードリーダ、QRコード対応イメージスキャナーを装備。端末を利用して決済まで可能だ。また、「PayPal」のアカウントを利用してネット決済も行える。
4.JR東日本ウォータービジネス「acureメンバーズ」
国内でもサイネージと決済を連動した動きがある。たとえば、JR東日本ウォータービジネスでは、交通系電子マネーを活用し、駅ナカの自動販売機と連動した会員サービス「acureメンバーズ」を開始。
駅ナカ自販機で商品を購入するとポイントを付与するサービスを提供するが、今後はデジタルサイネージを搭載した「次世代自販機」において会員専用の画面・サービスを提供することにより、継続利用を促すという。
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