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- 2019/07/18 掲載
BMW・資生堂の事例も解説、デジタルOOH(Out Of Home)広告の最前線
NTTドコモ×電通のLIVE BOARD代表 講演
Out Of Home広告が持つ4つのパワー
「Out Of Home広告(以下、OOH広告)は大きなパワーを有している」と神内氏は語り、その理由として、次の4点を挙げた。1つ目は「ブロードリーチ型(ターゲティングせず、多くのユーザーの目に入る)のメディア」であることだ。人々の多くは、1日の2/3を家の外で過ごす。首都圏であれば鉄道を利用する機会も多く、駅看板、駅広告などは意識しなくても目に入ってくる。OOH広告はテレビに次ぐリーチ力を持つ。
2つ目は「絶対見てしまう」点だ。シンガポール・チャンギ国際空港 第4ターミナルのセキュリティゾーンには、天井近くに横長の大型デジタルサイネージがあり、そこで同国の魅力をアピールしている。巨大かつ動画であるため、人々の視線は自然と引き寄せられる。
3つ目は「非常に大きな表現ができる」点だ。次の写真は、今年の旧正月に中国・青島で行われたコカ・コーラのキャンペーンだが、外壁にLED(発光ダイオード)が埋め込まれた青島のビル53棟を使い、連動させながら動画広告を展開した。
4つ目は「リーセンシー効果」だ。これは、直前に見た広告が消費者の購買活動に影響を与えるというもので、「何か買い物をした人の83%は、その直前に何らかのOOH広告を見ている」という調査結果があるという。
事例(1)気象データを活用したオレオ、ダヴ
このように、もともと力のあるOOH広告だが、近年、ITや各種データの活用によって多様な表現を手に入れ、さらにパワーアップしている。たとえば2015年、オレオは日食データを利用してロンドンでユニークなキャンペーンを展開した。
ロンドンは1年中天気が悪く、日食を直接見られる可能性が非常に低い。それならオレオで見せようと、ビルの屋上ビジョンにデータをリアルタイムに取り込みつつ日蝕さながらのアニメーションを映し出した。このOOH広告は話題となり、この年、オレオのセールスは50%アップ。結果として、過去最大のセールスキャンペーンとなった。You can enjoy an #oreoeclipse more than oncehttps://t.co/aAEjooSqU6
— OREO Cookie (@Oreo) 2015年3月20日
同じく気象データと連動したケースでは、米国 ニューヨーク・タイムズスクエアで展開されたダヴのシャワーキャンペーンがある。晴れの日は通常のCMが流れているが、雨が降ってくると、女性がシャワーを浴びているCMに切り替わる。
雨をシャワーとして使っているような表現に、見る人もシャワーの中にいるような感覚になったといい、その後の調査では、広告の興味度+25%、自分に関係ある広告だと感じた人+80%、商品の利用喚起+80%という結果が出た。
「ダヴのような誰でも知っている100%認知度がある商品ですら、データを活用したダイナミックOOH広告手法により、1.8倍もの広告効果を得られることが分かっています」(神内氏)
【次ページ】画像認識を活用した資生堂、BMWのOOH広告
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