• 2025/02/22 掲載

スターバックスが「拒否」され続けた国、それでも数年かけて進出に成功した戦略とは?

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スターバックスは世界80カ国以上に展開し、2024年時点で4万199店舗を構える。日本でも約2000店舗あり、当たり前のように見つけることができる。そんなスターバックスの進出に対して、強い抵抗を示した国があったという。それでも、2018年にその国で一号店を開き、主要都市を中心に店舗をオープンさせていくスターバックス。その原動力は何だったのか?『カフェの世界史』を上梓した増永 菜生氏が、上陸「拒否」国でスターバックスが成功した戦略を解説する。
執筆:増永 菜生
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スターバックス創業者が感銘を受けた国では、上陸を拒否されていた
(Photo:24K-Production / Shutterstock.com)
※本記事は『カフェの世界史』を再構成したものです。

スターバックスの進出に「断固反対」していた国とは?

 今や世界中どこの都市に行っても、当たり前のように見つけることができる、アメリカ発の大手コーヒーチェーン、スターバックス。全世界の店舗数は、2024年現在4万199にものぼり、スターバックスの公式サイトによると世界80カ国以上に店舗があるとのこと。このうちアメリカの店舗数は1万6941、中国の店舗数は7596であり、この2カ国の店舗数だけで世界の店舗数の61%を占めている。

 特に中国では、旧正月や中秋節などといった中国の暦の上での行事に合わせたメニューや、各地のご当地グッズなどを展開するなど、スターバックスは中国市場に向けた独自の戦略を練っている。

 お茶文化が根付いているイメージが強い中国であるが、2020年代以降の中国では、コーヒーの需要が急増しており、2017年創業の中国のコーヒーチェーン店である瑞幸珈琲(ラッキンコーヒー)の店舗数は、1万3296とスターバックスに迫る勢いで急成長している。ラッキンコーヒーの発展の要因はいくつか考えられるが、低価格であることやデリバリーやテイクアウトに特化したサービスを行っていることなどが挙げられるであろう。

 近年、上海は世界で一番カフェが多い都市としても知られるようになってきたが、このようなアジアの激戦区においてスターバックスが生き残るためには他店との差異化が必要となってくるのであろう。

 さらにアメリカの調査機関World Population Reviewのデータによると、アメリカと中国に次ぐ国々の店舗数は、韓国1870、日本1733、カナダ1458、イギリス1266、トルコ676、インドネシア581、台湾563、タイ474、フィリピン447と、アジアに多い。

 イギリスやカナダのほかにスターバックスが進出している国を挙げると、ヨーロッパではオランダ、ベルギー、スウェーデン、デンマーク、ノルウェー、フィンランド、アイルランド、ポルトガル、スペイン、スイス、イタリア、ドイツ、フランス、オーストリア、チェコ、ハンガリー、ルーマニアなど。アメリカ大陸では、コスタリカ、メキシコ、チリ、ブラジルなど。

 日本と韓国の総人口を考えるならば、韓国は日本の半分以下の人口でありながらも、スターバックスの店舗は日本よりも多いことから韓国におけるスタバ人気を窺い知ることができるであろう。

 さて、ここまでに挙げた国の中で、スターバックスの進出に断固反対していた国がある。

 それは、イタリアである。ヨーロッパの街を歩いたことがある方ならば分かるかもしれないが、ロンドンもパリもウィーンも観光客が集まる大都市の中心部を小一時間も歩けば、1、2店舗くらいはスターバックスを普通に目にするものである。ところが2024年現在でもイタリアではスターバックスの店舗が極端に少なく、スターバックスがイタリアに初出店したのも、他国に比べるとだいぶ遅い2018年のことである。

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スターバックスが初進出したのは、他国に比べるとだいぶ遅い2018年だった
(Photo:Florin Cnejevici / Shutterstock.com)

 スターバックスの創業者ハワード・シュルツが、1980年代にイタリアのミラノのバールで飲んだエスプレッソに感動し、それにたっぷりのミルクを入れたラテをシアトル系コーヒーとして売り出し大成功を収めたが、皮肉にも創業者が感銘を受けた国ではスターバックスの上陸を拒否されていたのである。

 本節では、イタリアがスターバックスに「NO」と言い続けた背景や、イタリア独自のバール文化やエスプレッソ文化について説明していきたい。 【次ページ】「スタバが老舗を乗っ取った」というフェイクニュースに騒然
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