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近年は「ファンマーケティング」や「ファンコミュニティー」の重要性が認識され、ファン獲得に取り組む企業も増えています。たとえばヤッホーブルーイングは、多くの熱狂的ファンに根強く支持されており、同社の企画や取り組みには大きな注目を集めています。そこで今回、ビジネスを成長させるために必要な「ファーストフォロワー」について、ヤッホーブルーイングの外部スタッフ「エア社員」にも就任したトライバルメディアの高橋 遼氏に、著書『
ファーストフォロワーのつくりかた』(翔泳社)を再構成して解説してもらう。
ファンが増えていく「4つのステップ」
「ファーストフォロワー」とは、そのサービスが好きで応援してくれるファンを指します。初期段階でその製品やサービスの魅力に気づき、熱狂的なファンとして振る舞った最初のフォロワーは、時に信じられないほど多くの顧客を連れてきます。これらのファーストフォロワーはどのように行動し、どのようなプロセスを経てさらなる顧客を生み出すのでしょうか。
この「ファーストフォロワー」という存在の解像度を上げるために、
TEDの動画を紹介します。この動画では、音楽に合わせて踊っている男性が周囲から浮いた存在になっている中、1人の男性(最初のフォロワー)が踊りに加わり、徐々に人数が増えて、最終的には傍観している人が浮いた存在のように見える、という事象を解説しています。
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動画の吹き出しボタンより日本語字幕を表示できます |
このストーリーを構造的に整理してみると、図1の4つのステップに分けることができます。
図1のプロセスにおいて、ファーストフォロワーが大きく関与しているのは、主に「Step1」→「Step2」と、「Step2」→「Step3」にかけての変化です。そして、それぞれのステップで変化を生み出しているのは、「リーダーとファーストフォロワーとの関係性」と「ファーストフォロワーと2人目以降のフォロワーとの関係性」によるものです。
このプロセスを見ると、ファーストフォロワーはリーダーに追随して価値を受け取るだけの存在ではなく、その体験の価値を他者に伝え、仲間を呼び込む役割を担っていることが分かります(図2)。
つまり、ファーストフォロワーは企業を応援してくれる存在にとどまらず、企業と共に価値を「見つける」、さらにその価値を「伝える」という2つの役割を担い、ビジネスに貢献してくれるのです。
サービス・商品を成長させる「顧客との関わり方」
一般的に、サービスを開始した当初は顧客への価値が定まらないため、すぐに売れるわけではありません。サービスを成長させる重要な概念として、サービスが顧客のニーズを満たし、正しい市場にいる状態を指すPMF(Product Market Fit)がありますが、このPMFに到達するには、顧客の声を聞き、サービスを改善していかなければなりません。
ですが、顧客は必ずしも自身のニーズを自覚しているとは限りません。そのため、サービスの提供者と顧客の双方で価値を見いだしていくプロセスが重要になります。この過程でファーストフォロワーが感じている価値を、企業が「見つける」というプロセスが不可欠になるのです。
そのプロセスには、(1)行動、(2)文脈、(3)欲求、(4)価値のステップがあります。ただユーザーの行動だけを見ていても、それは目に見える姿をとらえているだけに過ぎません。その背景にある文脈を理解することによって、ファンが抱えている欲求を知ることができます。そして顧客の欲求を満たすことで、最終的にたどり着きたい価値につながるのです。
ここからは、ヤッホーブルーイングによるファーストフォロワーとの関わり方を紹介します。
【次ページ】ヤッホーブルーイングに「熱狂的ファン」が多い秘密
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