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- 2023/02/13 掲載
丸亀製麺の顧客体験(CX)が評価されるワケ、“星野リゾート超え”を生んだデータ戦略
選ばれる確率を上げるには? 脳への働きかけを意識
飲食業を中心に、日本発のグローバルフードカンパニーを目指すトリドールホールディングス。2022年9月末時点で、国内1064店を運営しており、丸亀製麺は最も多い829店舗を展開。グローバルではMARUGAME UDONなど674店舗を運営している。丸亀製麺は店内で製麺する手づくりにこだわるとともに、データ分析などを用いた顧客体験(CX:カスタマーエクスペリエンス)向上にも取り組んでいる。間部氏は「丸亀製麺は、選ばれる確率を上げるマーケティングを掲げています」と語り、人の左脳と右脳のそれぞれを行き来しながら働きかけるマーケティングの取り組みを行っているという。
論理や思考をつかさどるとされる左脳には、「欲しくなる理由」「独自性」「パーパス」などによって認知を創るアプローチを図り、一方、直感や感情をつかさどるとされる右脳には、「美味しそう」「食べたい」「ワクワクする」「楽しい」といった感情を喚起して「衝動を創る」アプローチをとっている。
丸亀製麺の「すべての店で粉からうどんをつくる」「職人の手づくり」「打ち立て・生」といった運営方針とメッセージは、この左脳へのアプローチに当てはまるという。
「『美味しいうどんを食べたい』と思ったら『(丸亀製麺に)行きたいな』と思うだけでなく、行ってみるという行動変容を促すべく、マーケティング活動をしています」(間部氏)
丸亀製麺のCX戦略、根本にある「感動創造」
トリドールホールディングスはスローガンに「食の感動で、この星を満たせ。」、ミッションに「本能が歓ぶ食の感動体験を探求し、世界中をワクワクさせ続ける」を掲げている。間部氏は、「顧客体験向上のための活動は企業理念・戦略から始まる」とし、次のように語る。「お客さまは集めるものではなく、創るものであり、お客さまを創造する源泉価値は『感動体験』だと思っています。私たちはすべての活動の真ん中に『感動体験』を置いています。美味しい食事を提供する外食産業の枠から抜け出して『感動創造業』になろうとしており、2023年はその進化の初年度です」(間部氏)
間部氏が所属するマーケティング本部 CX戦略部では、丸亀製麺アプリやWebサイト、CRM(顧客情報管理)など、データを活用しながらより明確・快適に「お食事体験(顧客体験)」を向上することをミッションとしている。
では、実際にどのようにしてデータを活用し、顧客体験向上につなげているのだろうか。
【次ページ】データ活用成功企業はどのような指標を使っているのか?
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