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- 2012/02/02 掲載
高島屋が10億円のコスト抑制につなげたシステム改変、流通BMS対応の3つのポイント
分岐点を迎える小売店のIT活用
流通BMSとは
1982年に日本チェーンストア協会は、加盟する小売企業のオンラインのデータ仕様を策定した。これが「JCA手順」と呼ばれるものである。その後、より詳細なデータを必要とする流れを受けて、受発注、出荷、支払い請求などに拡大したEDI(電子データ交換)へと拡張されていく。しかし、EDIは小売店ごとに仕様が異なるため、各社が連携するには新たなシステム開発が求められる。また、データ通信に用いるモデムが製造されなくなったほか、通信速度も遅いため、分析などに必要な大量データをやり取りすることができないといった問題が生まれていた。
こうした問題を解決するために生まれたのが流通BMSである。流通業界全体でメッセージフォーマットを統一し、通信インフラを標準化することで、相互接続における利便性を高め、投資コストを抑制しようという取り組みである。2007年に発表された当初はなかなか広まらなかったものの、2011年10月1日時点では流通BMSへの参加、あるいは参加予定の小売は82社、卸・メーカーは120社に達した(流通BMS協議会調べ、社数は公開に応じた企業)。小売業界2位のイオンも2012年末までの切り替えを進めている。
巻き返しを図る百貨店、カギはITによるコスト削減
新興国攻勢に加え、同社の利益改善につながったのが、人件費をはじめとする販管費の削減だ。これはITによる業務効率の改善と無関係ではない。次世代EDIとして期待されている「流通BMS」への積極的な取り組みによって、商材をやり取りする際の仕様を共通化し、徹底して無駄を省いた結果と言えるだろう。
高島屋 IT推進室 室長 津田 芳雄氏は、流通BMSフォーラム&ソリューションEXPO 2011で、同社の流通BMSへの取り組みについて説明した。同社が流通BMSに参画したのは2006年のこと。当時は、アパレルと婦人靴を中心に展開を開始した。業務プロセスの標準化(買取型・消化型)を進めつつ、共同実証を実施し、2009年3月には「流通BMS百貨店Ver1.0」がリリースされた。
その後、残りの課題と実用後の課題解決を行い、アパレル・婦人靴で小田急や丸井らと標準仕様を確認。2010年6月には「流通BMS百貨店Ver2.0」をリリース。同年、食品ギフトや中元歳暮における「在庫需要状況メッセージ」など新たな適用も加え、2010年12月には「流通BMS百貨店Ver2.1」をリリースするに至った。最終的にアパレル・婦人靴、食品ギフトに関して27のメッセージが標準化され、「流通BMSの素地はできた」(高島屋 IT推進室 室長 津田 芳雄氏)。
2011年からは標準の維持管理を行いつつ、食料品への適用検討を進めているという。
【次ページ】EOSと合わせて実施し、10億円のコスト削減効果
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