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  • 2015/12/04 掲載

インドネシアは「日本発の決済サービス大国」へ 同国最大の共通ポイントはPonta

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2015年10月末、筆者はインドネシアのジャカルタとバリ島を訪れた。インドネシアは、人口約2億5,300万人で、ASEAN(アセアン)の半数近くの人口を有する大国だ。以前より成長の勢いは鈍化しているが、GDPの成長率は平均5%で世界16位。国民1人当りのGDPは3,540ドルで、アセアンの近隣国を上回っている。さらに、30歳未満の若い層が人口の50%を占め、40%以上は銀行との取引が可能でありながら、まだ口座などを保有していない。インドネシアはカードビジネスにおいてもポテンシャルが高く、日本のさまざまな企業が参入の機会をうかがっている。今回は現地取材を通して見えてきたインドネシアのクレジットカードや電子マネー、交通系ICカード動向について紹介したい。

クレジットカードや電子マネーの共用化が遅れている理由とは?

 店舗に無数に並べられたクレジットカードや電子マネーの決済端末。インドネシアの首都、ジャカルタの店舗の多くにはこのような光景が見られる。日本では、レジスペースが限られてしまうため、一台の端末で処理を行いたいと考える加盟店が多いと思われるが、インドネシアでは共用化の流れは進んでいない。

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実際、大手レストランチェーン「SOLARIA」でも複数のクレジット、電子マネー決済端末が並べられている

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 インドネシアでは、カードの発行やアクワイアリング(加盟店開拓)は、銀行を介して行われている。クレジットカードの普及率は10%弱で、売上高は、月間で約2,000億円、年間で2兆円の規模となる。現在、クレジットカードのイシュアは23、ノンバンクではPT. AEON CREDIT SERVICE INDONESIAが事業を展開している。

 カードを発行している銀行は23あるが、端末を置いているのは10行もない状況だ。また、アクワイアリングについては、大手の銀行が中心だ。特に、Bank Central Asia (BCA)、Bank Mandiri(マンディリ銀行)の2つの銀行が圧倒的に強く、両社はカードの発行枚数も抜きんでている。

 たとえばBCAのクレジットカードユーザーが店舗で決済をする際に、BCA設置の端末で決済すればオンアス取引でオペレーションコストが安くなるそうだ。また、店舗では銀行からの融資の条件として端末を置くケースもある。そのため、「多くの端末が設置されていても主に利用される端末は決まっている」と、PT JCB International Indonesia President Director(取締役社長)の門脇裕一郎氏は説明する。

 インドネシアでは、端末の価格が日本よりも安価であり、銀行の多くが共用するまでもないと考えているそうだ。また、銀行にとっては、自ら端末を設置することで、独自のサービスが展開できると考えており、たとえば分割払いの0%金利は自社端末がないとできない。銀行としては、多くの加盟店に設置することで、自社のネットワークを広がったことを誇示できる部分もあるそうだ。

クレジットカード利用において6桁のPIN入力を義務付け

 加盟店でのクレジットカードブランドの浸透状況を見ると、VisaとMasterCardが強いが、JCBのカバー率も90%程度になっているという。一方で、American Expressはそれほど強くはない。また、銀行独自のデビットカードも利用できる。

 AKKIM(インドネシアのクレジットカード協会)事務局長 Steve Marta氏は、「インドネシアでは、8割が現金取引ですが、クレジットカードの利用額は12%増となっています」と、堅調に成長していることをPRした。また、クレジットカードのEMV ICカード化を2010年に完了し、2014年には新たなレギュレーションとして、カード利用において6桁のPIN入力が義務づけられた。デビットのEMV IC化対応についても2015年12月末までに完了するという通知がでているが、スケジュールは若干遅れ気味だ。

 なお、JCBでは、2015年10月21日、22日の2日にわたりバリ島で開催した「第14回JCB世界大会」において、手のひらの静脈認証技術を用いた決済スキームの実証実験を行った。JCBではグローバル決済スキームとして同技術を広めていきたいということだが、「インドネシアでも1年以内に銀行と協力して実験を行いたい」と門脇氏は意気込む。

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JCBは、同社グローバルネットワークと 富士通の手のひら静脈認証技術を融合させ、事前に手のひらの情報をカードの情報へ紐付けすることにより、手のひら静脈認証での本人確認により決済を行う仕組みを開発

【次ページ】インドネシア最大の共通ポイントは日本でもおなじみの…
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