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米国のFintechで注目を浴びる「Stripe(ストライプ)」。日本でもStripeのようなサービスが普及すれば、決済市場がさらに活性化するといった声もある。そのStripeの日本法人であるストライプジャパンと、カード会社の三井住友カードがオンライン決済サービスの国内提供を開始した。果たして、Stripeは米国同様に日本でも受け入れられるのだろうか。
2015年のオンライン購入のうち40%でStripeが利用
Stripeとは、開発者がECサイトにコードを組み込んで簡単に決済機能を実装できるツールで、「開発者向け決済サービス」「コード決済」などと呼ばれる。
米国では、新たな決済サービスとして注目されており、Kickstarter(キックスターター)、ピンタレスト、ツイッター、フェイスブック)、セールスフォース、そしてアップルまで、世界の名だたる企業がStripeのサービスを利用している。
Stripe CEO and co-founder パトリック・コリソン(Patrick Collison)氏は、「米国の2015年のオンライン購入のうち40%でStripeが利用されている」とした。
Stripeでは、2014年6月にストライプジャパンを設立。2015年5月から日本において招待制のベータ版のテスト運用を行ってきたが、2016年10月から満を持して国内で本格的に展開した。
決済手数料は一律3.6%で、料金の上乗せはない。ストライプジャパンによれば、簡単で簡潔なモデルにしたかったため、ワンプライスにしたという。ベータ版では、Peatix(ピーティックス)、Gengo(ゲンゴ)、ANA(全日本空輸)などからフィードバックを受け、日本市場にあったサービスの提供に努めた。
Stripeでは、インターネットを通じて複数の売り手と買い手の売買を実現するマーケットプレイスを対象とした決済システム「Stripe Connect(ストライプ・コネクト)」を提供しているが、日本国内でも利用が可能となった。また、サードパーティ内のアプリで商品を直接表示したり、アプリで購買ボタンを表示して決済につなげることができる「RELAY(リレイ)」も提供する。
さらに、「Dashboard(ダッシュボード)」機能では、全取引、顧客情報、定期支払い、振込などを直接管理。Stripe上のデータは、Netsuite、Quickbooksなど既存のシステムと同期して経理担当者の会計管理とレポーティングを効率化させることが可能だ。
国内での展開にあたって、最近注目を集める越境EC(国内の商品を海外で販売するECサービスのこと)をスムーズに進めるには、Stripeの決済サービスが有効であると主張。サービス開始時点で約130通貨に対応しており、同システムを利用することで、日本の事業者は世界中どこからでも決済を受け付けられるようになることをその根拠としている。
三井住友カードはスタートアップ開拓に期待、売上は週1回精算
Stripeと提携する三井住友カードでは、スモールビジネス、成長力のあるスタートアップの開拓に期待している。同社 取締役会長 島田秀男氏は、「Stripeのサービスを利用すれば、簡単に素早くクレジット決済機能を導入できるとともに、売上代金は週に1回精算されるため、キャッシュフローの面でも現金決済に近い形で処理が可能」と説明する。
日本では、Stripeが包括加盟店としてカード会員のオーソリや加盟店管理を行うが、三井住友カード自身でもブランド精算や加盟店管理を行うダブルチェック体制となる。
特徴的なのは、加盟店管理、カードの不正防止についての管理を両社がそれぞれ行い、安心・安全な決済取引を目指すことだ。Stripeは25カ国で事業展開をしているため、不正利用のグローバルな傾向も分析することができ、その精度は日に日に高まっていると思われる。
【次ページ】なぜ日本の開発者向け決済サービスは苦戦するのか
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