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  • 2024/07/12 掲載

「収益源の崩壊」と「規制強化」に直面する金融業界、革新と成長を可能にする方法とは

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金融業界では、取引手数料や運用報酬の引き下げを背景に、収益の確保が難しくなりつつある。さらに、顧客や規制当局から大きなプレッシャーもかけられている。日本市場が人口減少によって縮小しつつあることを踏まえると、グローバル市場との関わりを深めると共に、デジタルトランスフォーメーションの推進が必須と言えるだろう。本稿では金融業界を取り巻く世界と日本の動向を紐解き、業務の効率化と新たな収益源の獲得を実現する方法を探っていく。
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激変した環境で負けないために、金融業界がとるべき“攻め”と“守り”の施策とは?

金融業界を取り巻く大きな変化「オペレーショナル・レジリエンス」

 各国の金融規制当局は今、特に経済安全保障(自国の安全を経済面から確保すること)に注力している。実際に、日本では経済安全保障推進法が施行された。経済安全保障を重んじる上で関わりが深い海外の規制としては、EUのDORA規制(デジタル・オペレーショナル・レジリエンス法)があり、この規制はEU域内でビジネスを展開する金融機関にも適用される。イギリスでも今後、類似の規制が設けられる予定だ。

「私が経済安全保障の一環として注視しているのは、サイバー攻撃や自然災害などからの復旧能力を意味する『レジリエンス』です。これについて、金融業界ではこれまでも対策を講じてきたでしょう。しかし、新たな規制が生まれたことによって、今後はより高度なレジリエンスが求められるようになります」

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ブロードリッジ・インターナショナル
プレジデント
マイク・スレイトホルム氏

 このように語るのは、25年以上にわたり日本の金融業界に必要となるテクノロジーを提供してきたブロードリッジ・インターナショナルでプレジデントを務めるマイク・スレイトホルム氏だ。

 サイバー攻撃や自然災害といった外的なリスクへの対応は必須であるものの、直接的な利益を生むものではない。そのため、企業は、いかにコストをかけずにリスクへ対応するかを考えなければならない。

 同氏によると、これからの金融業界に求められるのはレジリエンスを始めとする“守りの施策”と収益を向上させるための“攻めの施策”であり、これらの施策を実行するためにはテクノロジーの活用が必要となる。

レジリエンスを実現するために企業がすべきこと

 まず、スレイトホルム氏は“守りの施策”となる、サイバー攻撃に対するレジリエンスを実現するための基本的な考え方を説明する。

「当然のことながら、大規模なサイバー攻撃を受けた場合を想定して、攻撃を受ける直前の状態にシステムを復旧できるよう備えておく必要があります。具体的には、不変性(攻撃によってデータが改ざんされない状態)を担保できる環境にデータのコピーを保管しておき、いざという時には、そのデータを活用するのです。ブロードリッジでは、この取り組みをI&R(Immutability and Repave)と呼んでおり、お客さまの事業継続を支えるためのソリューションとして提供しています」

 次に、スレイトホルム氏は“攻めの施策”として、金融業界が収益を上げていくために重要なことを指摘する。

 株式の取引手数料がゼロになるなど従来のビジネスモデルに依存できなくなった今、新しい収益源を創出しなければ企業は事業を展開し成長することができなくなってしまう。ここでも重要となるのが、テクノロジーの活用だ。たとえば、ブロードリッジが提供する証券ファイナンスと担保管理(SFCM)ソリューションなどを利用することで、企業は証券ファイナンス業務を強化し、新たなグローバル市場や商機へ事業を拡大することが可能だという。

 “攻めの施策”と“守りの施策”のほかに、企業は自社を取り巻く業界内の変化にもアンテナを張る必要があるだろう。金融業界においてグローバルで急速に成長しているテーマとして、同氏はダイレクト・レンディングを挙げる。これは銀行以外のレンダー(貸し手)が、主に中小企業を対象として提供するローンのことだ。

「現在では多くの銀行がバランスシートを縮小し、融資額を減らしています。そうすると、企業は十分に資金を確保できなくなります。そこで、昨今では銀行の代わりに新しいレンダーが参入しています。代表的なのが、プライベートエクイティファンドやヘッジファンドの登場です。これらは利回りを高めるチャンスとなる一方で、リスクも抱えています」(スレイトホルム氏)

 そのため、アセットマネージャーはリスクの管理方法と、グローバルでさまざまなアセットクラスを効率よく投資する方法を考えなくてはならない。これは非常に難易度の高いことだが、ここでもブロードリッジのテクノロジーが解決に役立っているという。

海外進出時の橋渡し役としても貢献できるケイパビリティ

 グローバルで活躍しているブロードリッジだが、日本においても革新的なテクノロジーの活用を通じてアセットマネージャーの業務変革を支援した実績がある。需要の多様化を受け、ポートフォリオ管理に課題を感じている顧客が増えているという。

 バイサイド(運用会社)の顧客に対しては、ポートフォリオ管理、データ&分析機能に加えて、有価証券の取引執行管理システム(EMS)である「Xilix(ザイリックス)プラットフォーム」を提供している。リアルタイムでのコンプライアンスチェック機能やグローバル金融市場向けの機能を兼ね備えている点、直感的かつ迅速な操作が可能な点が特徴だ。

 また、証券会社に対しては、ブロードリッジは注文と執行管理からクリアリング・決済、財務・会計のフロントからバックまで、取引ライフサイクルのあらゆる要素を結びつけ、簡素化し、合理化するマルチアセットソリューションにより、グローバル市場における取引のワークフローを簡素化・最適化する。取引ライフサイクル全体を簡素化することで、ビジネスの価値を引き出し、顧客による俊敏な対応を支援する。

 日本国内での動向や支援実績の一例を、ブロードリッジ・ジャパンのマネージングディレクターでAPACポストトレード部門長を務めるジェームス・マーズデン氏が説明する。

「たとえばSBI証券では、香港支社、シンガポール支社において当社のポストトレードソリューションを採用し、日本株の取引を処理していました。2023年に同社は子会社をイギリスで設立し、同国内の顧客向けに日本株の株式売買委託業務を開始しています。この子会社でも我々のソリューションを採用していただきました。これも我々の豊富な経験と、世界各国の金融市場に対する広範な知識をご評価いただいたからだと考えています」

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ブロードリッジ・ジャパン
マネージングディレクター/APACポストトレード部門長
ジェームス・マーズデン氏

 これはテクノロジーに加えて、ブロードリッジという組織のスケールが、日本企業のビジネス拡大に貢献した好例だといえるだろう。

日本で築いた強固な組織体制と実績が支持されている

 金融業界向けにテクノロジーを提供するベンダーはブロードリッジ以外にも存在するが、類似のソリューションを提供する競合に対して、同社はどのような優位性を有しているのだろうか。スレイトホルム氏の回答は明快で、大きく2つの特徴があるという。

「1点目は、我々は日本市場で25年以上活動していること。言い換えると、日本市場のことを知り尽くしたバイリンガルのチームが日本で活動しているのです。チームメンバー全員が、日本の地で、日本のお客さまに対してサービスを提供できます。さらに、我々の提供するソリューションは、ある特定の領域のみに特化しているわけではありません。金融業界にとって必要な機能をそろえていることはもちろん、お客さまは多数のモジュール型ソリューションの中から必要なものだけをピックアップして利用できます」

 2点目に挙げたのは、日本と海外をつなぐ「橋渡し役」としての価値を提供できることだ。顧客はブロードリッジが持っているグローバルのスケールや、ローカルのプレゼンスおよび専門知識までも活用できる。

「我々は長きにわたり、海外企業による日本市場への進出をお手伝いしてきました。また逆に、日本企業が海外に進出する際にも多数支援してきた実績があります。現在では、日本のお客さまに対するサービスをどんどん拡充しているところです。サービスの対象となるアセットクラスは幅広く、加えてバイサイド、セルサイドを問わず幅広いお客さまの金融事業をサポートしています」(スレイトホルム氏)

 非常にユニークな例として、マーズデン氏は20年以上にわたる日本取引所グループ(JPX)とのパートナーシップについて語る。

「ブロードリッジは東京証券取引所との合弁により、ICJ社を設立し、「議決権電子行使プラットフォーム」を20年前から運営しています。東京証券取引所はこれを活用して、コーポレートガバナンスに関するサービスを1800もの上場会社に提供しているのです」(マーズデン氏)

 コーポレートガバナンスやIRは、企業にとって非常に重要な領域だ。実際、多くの国において、規制当局が株主の権利や議決権行使、あるいは透明性の向上などコーポレートガバナンスを改善するよう強く要求している。日本においても、これからコーポレートガバナンスやIRの重要性が増していくだろう。

「コーポレートガバナンスは米国で成熟している分野です。そのため、当社が培った経験などを基にして、多くの日本企業に貢献できると考えています。“攻めの施策”と“守りの施策”を実現するためのアドバイスはもちろん、キャッチアップのお手伝いもいたしますので、お気軽にお声がけください」(スレイトホルム氏)

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