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  • 2015/11/02 掲載

Apple PayやAndroid Payの日本での普及を阻む「本当の理由」とは

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海外では、アップルの「Apple Pay」に続き、グーグルの「Android Pay」、サムスンの「Samsung Pay」といったサービスが開始された「NFCモバイルペイメント」。スペイン、ブラジル、オーストラリアなどでは、Visaの「Visa payWave」やMasterCardの「MasterCard Contactless(旧MasterCard PayPass)」も広がりをみせている。世界をリードするのは、2004年からモバイルペイメントが展開されている日本だが、国際ブランド準拠の決済サービスは根付くのだろうか。

「Apple Pay」の2カ国目となるイギリスはインフラの整備が進む

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Apple Payは、米国に続き、イングランド、スコットランド、ウェールズ、北アイルランドでサービスを開始する
 2014年9月に発表され、10月から米国でローンチされた「Apple Pay」は、2015年7月からイギリスでもサービスを開始した。Apple Payは、サービス開始当初、全米の3%にあたる22万台の端末で利用できたが、2015年7月からは100万カ所で利用可能とリリースされたように、非接触インフラは急速に拡大しているようだ。利用については若干苦戦しているという報道もあるが、モバイルによる消費体験は、徐々に構築されていくと考えられる。

 第二の展開国となるイギリスでは、2014年末の時点で、クレジットカードやデビットカードなどに紐づいた非接触ICカードが5800万枚発行されており、POS端末の14%にあたる25万台以上で利用可能だ。世界でもオーストラリアやブラジル、カナダなどと共に、接触決済が利用できる屈指の環境となっているだけに、消費者から抵抗感なく受け入れられる可能性もある。

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 これに対応するべく、グーグルでも2015年9月10日、モバイル決済サービス「Android Pay」を米国で開始した。Android Payは、クレジットカードやデビットカードを紐づけることにより、Androidスマートフォンによる店舗での支払いが可能になる。また、ギフトカード、ポイントカードといったロイヤルティサービスも提供する。

 Android Payが使えるのは、「Android KitKat 4.4」以降を搭載したNFC対応スマートフォンで、American Express、Discover、MasterCard、Visaブランドのクレジットカード、もしくはデビットカードだ。対応のカードとしては、Bank of America、Navy Federal Credit Union、USAA、U.S. Bank、Wells Fargo、Citiなどが利用できるようになる予定。またレストランやアパレルショップ、スーパーマーケットなど、100万カ所の加盟店での支払いに対応すると発表している。

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Samsung Payは、2015年2月に買収したLoopPayのMST技術を利用している
 サムスンでも「Samsung Pay」を8月20日に韓国、9月28日に米国でサービスをスタートし、今後は中国、スペイン、イギリスといった国々での展開を見据えている。Samsung Payの特徴は、NFCだけでなく、同社が買収したLoopPayのMST(Magnetic Secure Transmission)によって、磁気カードの読み取り機での支払いに対応するため、非接触決済端末が利用できない加盟店もカバーできる点にある。MSTは現在、米国の9割の加盟店で利用可能となっているという。日本の業界団体のある試験では、日本の決済端末でも読み取ることができたそうだ。また、Samsung Payでは、メンバーシップカード、ギフトカードなどにも対応する。

 なお、韓国では、SAMSUNG CARD、SHINHAN CARD、KB kookmin Card、Hyundai Card、LOTTE CARD、NH Card、BC CARD、KEB Hana Card、WOORI CARD、Citiといった企業と提携。また、米国では、American Express、MasterCard、Visa、Bank of America、CHASE、Citi、US BANK、BLACKHAWK NETWORK、First Data、synchronyと提携している。サービス開始から間もないが、韓国での出だしは順調なようだ。

Android PayやSamsung Payはクラウドベースのペイメント

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Android PayはAT&T、T-Mobile、Verizonのスマホにプリインストールされる。決済だけではなくロイヤルティ機能も提供
 3つのサービスは、セキュリティ技術にも違いがある。

 まずApple Payでは日本の「おサイフケータイ」同様に、組み込みの専用チップである「Secure Element」にカード番号を書き込んでいる(そのほか、SIMやマイクロSDといった方式がある)。ただし、カード情報そのものは、トークナイゼーション(Tokenization)により、各トランザクションは、デバイスアカウント番号を用いたワンタイムの固有番号により承認される。また、各トランザクションを安全に認証するために、Apple Payはカード裏面のセキュリティコードを使うのではなく、動的なセキュリティコードが生成される。

 一方、Android PayやSamsung Payでは、トークナイゼーションと「HCE(Host Card Emulation)」の技術を利用している。クラウド上でカード番号とやり取りをするHCEは、Android 4.4 KitKat以降の端末では標準機能として搭載されており、BBVA(スペイン)、Cuscal(オーストラリア)、Banco do Brazil(ブラジル)といった、海外で独自に展開されるNFCモバイルペイメントで採用されている。

 また、利用者は、ネットワークに常時接続できないことが考えられるが、通常の接続時にトークンをダウンロードして端末に格納。イシュア(カード発行会社)には、ソフトウェア開発キット(SDK)が提供されており、仮想クラウド内で国際ブランドのアカウントにアクセスできる規格、要件、プログラム承認プロセスおよび実装ガイドラインが定められている。そのため、HCEを利用すればセキュリティはむしろ強化されるという声もある。

【次ページ】Apple PayやAndroid Payは国内で普及するのか
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