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- 2016/01/07 掲載
世界最大のICカードイベント「Cartes」で、世界中の企業が注力していた分野があった
日本の№1企業パナソニックでもトップ10には入らず
筆者も節目の30周年ということで、主催者へのインタビューなどを含めて参加を決断したが、渡航前の段階でも例年視察に訪れていた人が見合わせるなど、イベント自体も過渡期を迎えているようだ。そういった状況にさらに追い打ちをかけたのは11月13日にパリで発生した悲劇的なテロだ。これにより、ブース出展予定の複数の企業が参加を取りやめた。ここでは名前を伏せるが、日本や韓国の企業がパリへの渡航やブースでの人員配置を見送っている。
そうした状況の中、精力的に出展を行ったのは決済端末ベンダーだ。日本における決済端末ベンダーのシェアを見ると、パナソニックが圧倒的で、オムロンソフトウェア、東芝テックなどがこれに続く。国産メーカーが強いのが日本なのだ。
一方、世界的な決済端末ベンダーがこぞって出展を行ったCartesをみると、日本企業の参加はみられない。Ingenico(インジェニコ)、Verifone(ベリフォン)、PAX Technology(パックス・テクノロジー)、Castles Technology(キャッスル・テクノロジー)、Spire Payments(スパイア・ペイメンツ)など、国内の企業にはそれほど馴染みのない企業が大きなブースを設けていた。
The Neilson Reportによると、日本メーカーの最上位であるパナソニックですら世界で13位となっており、世界的には前述のような企業のシェアが高いのが現状だ。
アプリと連携する決済端末、ウォレット、ギフトカード、プリペイドカード機能など
端末はDesk、Lane、Moveの各シリーズがあるが、すでに提供を開始。アプリケーションについては、2016年から本格的な提供を開始する予定だ。加盟店は、ウォレット機能、ギフトカード、プリペイドカード、会員機能など、数多くのサービスをマーケットプレイスから入手して提供することが可能だ。Ingenicoでは、開発者向けのハッカソンを開催し、ベンチャー企業をサポートしている。
Ingenicoのグローバルにおける最大のライバルであるVerifoneでは、オンラインとオフラインを統合したソリューションをPRしていた。同社が次世代の製品として展示した端末はインターネットに接続され、利用者のモバイルデバイスと同期させることができるという。また、広告や販促メッセージを提供するソリューションもCartesに合わせて紹介した。
近年、グローバルで急成長しているのが中国のPAX Technologyだ。同社では、中国をはじめ、北米や欧州、南米など、グローバルに端末を提供している。決済端末としての機能は他のメーカーと比べて大きな違いはないが、各市場において、サービス、決済端末のクオリティ、顧客の要求に応えるフレキシビリティを重視して取り組んでいるという。
日本市場への展開を強化するのはCastles Technologyだ。日本では、マクドナルドにおいてNTTドコモが開始した「dカード」のポイント端末、イズミのゆめタウン、ディズニーストアなどで採用があり、FeliCaへの対応など、ローカライズを図っている。
Cartesでは、磁気ストライプカード、EMVコンタクト(接触)、EMVコンタクトレス(非接触)等の読み取りが可能な多機能端末「SATURN1000」を展示。米国では、同コンセプト的に近い「Poynt」が299ドルで提供され話題となっているが、決済端末ベンダーとしてのノウハウがあるため、機能や価格の競争力はあるそうだ。
【次ページ】グローバルプレイヤーにとっての日本市場の特殊性
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