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- 2016/04/19 掲載
ポイントサービスは「戦国時代」に突入、急増のLINEカードやドコモ、JR東、WAONの動向
発行10日間で20万枚を発行した「LINE Payカード」
LINE Payカードは、事前にコンビニ端末や銀行口座からLINE Pay残高にチャージ(入金)すると、国内・海外のJCB加盟店約3,000万店での支払いに利用でき、利用履歴もLINE上で確認できるというもの。LINEユーザーは若年層が多いことも特徴だが、申込時の与信審査や年齢制限がなく、入会金・年会費無料で誰でも気軽に持つことが可能だ。
さらに、貯めたポイントは、1,000ポイント以上で自身のLINE Pay口座に入金し、電子マネーとして利用できる。LINEのサービスとして、LINE STOREやLINE FRIENDS 公式オンラインショップで利用できるほか、「Amazonギフト券」「nanacoポイント」「Pontaポイント」「WAONポイント」といったポイントにも交換できるサービスも開始する予定だ。
伸び悩む「LINE Pay」の起爆剤となるか?
LINEでは、スマートフォンを活用したサービスを提供しており、将来的にはスマホ一台で完結する決済サービスを目指していると思われる。
しかし、LINEは元来コミュニケーションを図るために活用されており、決済ツールとしての力はそれほど強くはない。また、スマホを活用したサービスは、チャージ環境の整備、端末依存、店舗のインフラ環境といった課題も顕在化しており、他の事例をみても成功はそれほど多くはない。
同社では、2016年春から、リアル店舗においてもQRコードを活用したモバイル決済を開始するが、恐らく普及にはそれなりの時間が必要だろう。
そのため、LINE Payを活性化させる現実的な施策として、プリペイドカード「LINE Pay カード」の発行に至ったと考えられる。これは、モバイルを提供する立場である携帯キャリアのKDDIが、モバイル決済サービスを提供するのを見送り、MasterCardブランドの付いた「au WALLET」を発行したのに似ている。
高還元カードの多くが発行中止や改定に追い込まれる
下図の通り、消費者への魅力として考えれば、2%という還元率は非常に高い。実際、複数の識者がLINE Payカードは旋風を巻き起こすというコメントを残している。確かに、短期的には成果を生み出すかもしれないが、中期、長期の視点で見ると、どうしても不安が拭えない。なぜなら、ポイント還元率を売りにした数多くのクレジットカード、ポイントカードが、その後中止やポイントサービスの改定を余儀なくされているからである。
LINEはLINE Payカードの魅力を図表化した | ||||||
LINE Payカード | 大手通信キャリアA社 | 大手コンビニB社 | 大手共通ポイントC社 | 大手EC D社 | クレジットカードE社 | |
種別 | プリペイドカード | プリペイドカード | プリペイド電子マネー | ポイントカード | クレジットカード | クレジットカード |
ポイント還元率 | 2.0% | 0.5% | 1.0% | 1.0% | 1.0% | 1.5% |
年会費 | 無料 | 無料 | 無料 | 無料 | 無料 | 1500 |
ポイントの現金化 | 可能 | 不可 | 不可 | 不可 | 不可 | 不可 |
※ポイント還元率はキャンペーン時を除く (出典:LINE) |
たとえば、「au WALLET」はLINE Payカードの比にならないほどの枚数のカードを発行している。与信のないプリペイドカードは“バラマキ”可能な特性があり、数を稼ぐことが可能だ。
ただし、それを利用に結び付けるのは非常に難しい。実際、「au WALLET」も開始当初はキャンペーンの実施により、数多くの会員を獲得したが、その終了とともに実際の稼働は伸び悩んでいると言われている。KDDIの場合、携帯電話の契約者をつなぎとめる目的もあると思われるが、サービスの難しさを肌で感じているはずだ。
また、LINEのユーザーは若年層が多く、少額決済が中心となるため、当然手数料収益は薄利になると想定される。さらに、これまでのプリペイドカードや電子マネーの発行会社を見ても、日常的に利用する核となる店舗がなければ、再チャージを促すことは難しい。
定期的に利用するセブン-イレブンのある「nanaco」、イオンのある「WAON」、交通乗車のためにチャージする動機づけがある「Suica」等の交通電子マネーの利用金額や件数がアップし、楽天Edyが苦戦している理由の1つはそこにある。
「au WALLET」も日常的に利用するコンビニエンスストアと連携し、プロモーションを打つなどして、稼働率アップに努めている。そのため、還元率が最大の特徴となるLINE Payカードの行く末は楽観視できないと考える。
【次ページ】NTTドコモの「dポイント」は高還元と割引が特徴
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