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- 2025/01/08 掲載
関西は競争緩い?関東最強オーケーストアが「関西進出」で無双する可能性大の理由
【連載】流通戦国時代を読み解く
オーケーストア「関西進出」の背景
2024年11月、ディスカウントスーパー、オーケーが念願の関西進出を果たし、東大阪市高井田に出店を実現した。オーケーと言えば、2021年に、阪急百貨店やイズミヤ、阪急オアシスなど傘下に抱える小売グループのH2Oリテイリングと、関西スーパーの買収争奪戦を繰り広げた企業だ。結果として、H2Oリテイリングとの争奪戦に敗れ、以降、自前での関西進出を準備し、ついに初出店にこぎつけたことになる。
H2Oリテイリングに買収された関西スーパーは、阪神間に62店舗を展開、売上高約1,300億円という関西エリアでは有数の食品スーパーであり、業界における店舗オペレーションを作り出した元祖「食品スーパー」である。
この争奪戦に敗れたことで、オーケーの関西進出は時間的な後れをとったことは否めない。しかし、同社は諦めることはなく、東大阪の高井田に出店を果たし、その建物の上層部分は今後の関西店舗網の橋頭保(きょうとうほ:作戦の足場とする拠点)として、関西本部が設置されている。
現在、高井田に続き、尼崎、西宮、神戸市垂水などへの出店も明らかになっており、すでに10カ所ほどを手配済みという噂もある。高井田出店をスタートに、オーケーは関西攻略を着々と進めていくことになりそうだ。
オーケーが進出する「東大阪・高井田」周辺のライバル
筆者は12月に高井田店を視察し、競合店を見ながらオーケーが初出店先に選んだ東大阪市内をぐるぐるとしてきた。東大阪市は中小製造業の集積地として有名な街であり、東の大田区と並び称される「町工場の街」である。かつては町工場の密集地だった雰囲気は伺えるが、宅地化が進み、工場と住宅、マンションが混在していて、未利用地はほとんど見当たらない。関東でいうなら大田区というより、江戸川区といった雰囲気かもしれない(大田区よりちょっとだけ郊外寄りの感じ)。
オーケーの店舗の周辺には、ライフ、万代(大阪)、ちょっと離れればマルハチ、関西スーパーといった競合店もあり、実戦の中でオーケーが関西で実力を試すには良い場所かもしれない。
ご存知の通り、オーケーの元々の本社は大田区雑色であり、得意とする大都市町工場エリアに自信満々で乗り込んでいるはずである。実際に店舗に足を運んでみると、たしかにオーケーの店舗に最も多くの来客があるように見えたが、競合店にも相応の来店があり、勝負の行方は、もう少し時間を経てから判断すべきだろう。
【図解】関西エリアでも「成功する確率」が高い理由
ただ現時点でも言えることは、オーケーの食品スーパーとしての戦力をデータ比較すると、関西のスーパーとの比較云々というレベルの話ではなく、業界最強のスーパーの1つであることは間違いない、ということだろう。図表1は、上場スーパーおよび財務データが開示されている食品スーパーをさまざまな競争力に関わる指標ごとに上位3社を抽出してみたものだ。
ご覧になれば、オーケーがほとんどの競争要因において、業界トップであることが一目瞭然なのである。それも国内最強プレイヤーが覇を競う関東エリアにおいて、このデータを叩き出しているということは、国内最強レベルにあることを表している。
つまり個店の各論は別にして、オーケーが、現在攻略している首都圏エリアと、最も似ている大都市市場である関西エリアでも、一定の成果を出す確率は極めて高いことだけは誰が見てもわかるということだ。 【次ページ】関東より競争緩い?「関西進出企業」が増える3つの理由
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