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生活雑貨業界は戦国時代に突入している。ここ数年、業界トップを走る無印良品(良品計画)を脅かす存在として、インテリア雑貨のニトリ、低価格帯のダイソー、セリア、3COINSが同じ生活雑貨の市場で台頭してきている。特に、無印良品にとって脅威になりそうなのが、ダイソーを運営する大創産業、3COINSを運営するパルだ。勝敗は何で決まるのか。今、生活雑貨業界で起きつつある変化を解説する。
急拡大「Standard Products」とは何者か?
「Standard Products」という生活雑貨の店が今、全国各地のショッピングモールで出店を加速している。
Standard Productsのコンセプトは、「普段の生活で使う、日用品をちょっと楽しく」、「ちょっといいのがずっといい」というもの。シンプルなデザインの雑貨類を取りそろえるおしゃれな雰囲気の雑貨店だが、値段を見ると300~1,000円
という非常にお手頃な価格設定に驚かされる。
今年の5月には4店舗、6月に8店舗、7月に8店舗と、かなりの勢いで全国の大型ショッピングモールに新店舗をオープンしており、実際目にした方も増えているのではないだろうか。そんなStandard Productsを運営しているのが、100円ショップ最大手のダイソーを運営する大創産業である。
大型ショッピングモールのオープン、リニューアルのタイミングを出店機会として、急速に浸透していきそうな勢いだが、なぜStandard Productsは消費者に受け入れられ、これほど拡大しているのだろうか。同社の生活雑貨業界におけるポジショニングからその理由が見えてくるかもしれない。
生活雑貨の「未開拓市場」とは? 業界マップを解説
生活雑貨業界では良品計画(MUJI)という売上高約5,000億円の有力企業が、「良いものをそれなりの価格」で提供する存在として、その中心的地位を確立している。そして、機能的には十分に使えるものを100円で提供する100円ショップ業界が最も安い価格帯に位置しており、大手4社合計で約9,500億円(2022年度)ほどの市場を構成している。
しかし、「100円ショップ以上、無印未満(≒そこそこの品質で、単価300円~1,000円以下)」というポジションには、確たるプレイヤーが存在していなかった。その空いた領域の「試掘」に最初に成功したのは、アパレルのパルグループHD子会社のパルが運営する「3COINS」であった
3COINSは、コロナ期の巣ごもり需要をチャンスとして、300円という価格にとらわれない、おしゃれ、かつ機能的な商品を続々投入して、一気に女性消費者のこころを掴んだ。2019年度には258億円低度だった売上は、2022年度には490億円とほぼ倍増し、その存在は世に侵透した。
この頃には、家具インテリア雑貨のニトリも、都市型生活雑貨店「DECOHOME」を都市部の商業施設内への展開を進めており、“無印の廉価版”とも言える価格帯を展開していた。追いかけるようにダイソーが投入したStandard Productsも急速に拡大し、「100円ショップ以上、無印未満」の市場は新規参入組による争奪戦になった。
そして、品質と価格ですぐ上にいるメインプレイヤーMUJIのマーケットを奪い、その業績に影響を与えるようになっていったのだ。
一方、無印良品もこの市場の売上が吸われていくのを黙ってみているわけではない。出店を拡大するなど攻勢をかけているが、どうしてもダイソーをはじめとした新規参入組には勝てない事情がありそうだ。
【次ページ】無印良品がダイソーには勝てない理由
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