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- 2012/12/11 掲載
消費税増税の影響は?日本人の消費行動の変化を追う生活者1万人アンケート
口コミよりも重視されるものとは?
景況感は悪化。自然災害にも不安
日戸氏はまず、現在の景況感について言及した。今回の調査は2012年7月から8月にかけて行われたが、2008年のリーマン・ショック後の2009年調査より、さらに景気の見通しが悪化した。今後1年の景気が「悪くなる」と考えている人が4割を占め、過去最高を記録した。「この結果は今秋の日経新聞の経営者アンケート調査と似た傾向にあり、瞬間風速的に景況感は相当悪い状況にある。」(日戸氏)
また、家庭の収入について今後どうなると考えているかを見ると、「悪くなる」とする人が全体の4割以上に達した。2009年調査時とほぼ同様に悲観的な傾向を示しており、「家計に関しては非常に厳しい見方をしている」(日戸氏)という。
次に直面する不安や悩みについて言及。トレンドは従来と変わらず、「健康」や「税金・社会保険料などの増加」「社会保障制度の破綻」などが上位にきているが、今回初めて「放射性物質による汚染の広がり」を選択肢に加えたところ、20.8%の人が回答した。
老後の暮らしについては、前回調査に比較して「非常に心配である」と思う人が10ポイント近く増加し、しかも30代~40代の世代で増加しているのが目立った。
世間一般から見て自分がどこに位置しているのか、生活のレベルについて聞いた質問では、「2006年までは小泉構造改革の影響で格差が広がり、『中の下、または下』と答える人が増加していたが、前回の2009年から傾向が変わり、『上、または中の上』ととらえている生活者が2009年調査比で1.8ポイント増加した。われわれはこれを『意識内上流化』と呼んでいる」(日戸氏)という。実際の生活レベルにかかわらず、考え方だけが改善したというわけだ。
では、経済水準が上がっていないなかで、なぜ、意識だけが上がっているのか。これについて「ホームレスや就職できない人など、経済的な弱者についての報道が多いなかで、改めて自分を見直すと『それほど悪くないのではないか』という感覚があるのではないか」と日戸氏は解説する。また、「東日本大震災という未曽有の大災害を経験することで、平穏な日常の大切さや、家族や身近な人が無事であることの幸せを再認識した面もあるのでは」(日戸氏)との解釈も加えている。
仕事に関する質問で今回、注目されるのは、1997年から一貫して減少傾向にあった「一流企業へ勤めるよりも自分で事業を起こしたい」という企業家志向の割合が下げ止まったことだった。
「こうした結果を他の項目の結果とあわせて分析してみると、1997年から前回の2009年まで続いてきた傾向が“頭打ち”になっている傾向が出ている。ただし、これが今後の反転の兆しであるかどうかは即断できない。」(日戸氏)
前回の調査が行われたのは2009年。サプライムローン問題に端を発した金融危機と、民主党による政権交代が果たされた時期。東日本大震災とあわせ、生活者の意識において、2009年まで続いてきた一定の傾向に変化の兆しが出ていることが見てとれる。
【次ページ】消費税増税でもっとも消費が減るのは?影響のないものは?
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