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- 2012/04/02 掲載
良品計画 松井忠三会長:“無印良品は終わった”から奇跡の復活を遂げたトップマネジメントの極意
業務改革着手から5年で過去最高益を達成
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失速の大きな原因は急速に進んでいた“大企業病”
しかし11年目となる2001年2月の決算期に初めて減益となり、株価も前年の1万7350円から2750円へと急落、これに伴い、時価総額も約4,872億円から約772億円へ大きく目減りした。さらにその半年後の2001年8月中間期には38億円の赤字へと転落する。
このタイミングで急きょ社長に就任したのが松井氏だ。同氏は1973年に西友に入社、その後、良品計画へ出向、転籍した経歴を持つ。2012年3月6日に開催されたBPMフォーラム2012の基調講演で登壇した松井氏は、当時の状況を次のように振り返る。
「いよいよ無印の時代は終わった、といわれた。また当時日本で最も力のあったアナリストに、日本の専門店で一度ビジネスモデルが大きく崩れて復活した企業は一切ない、ともいわれた。だから頑張ってくださいと。」(松井氏)
突然ともいえる挫折の要因はさまざま考えられるが、やはり内部から大企業病が急速に進んできていたことだと松井氏は指摘する。
「皆、自信満々で、内部だけを見て議論をしていた。」(松井氏)
そこで松井氏は、復活を目指した自社改革に乗り出すことになる。
「なぜこういうことが起こったのかという原因を探り、その対策の手を打つのが、当時社長だった私の最大の課題だった。」(松井氏)
セゾングループの企業文化からの脱却を図る
良品計画はセゾングループの一企業だが、当時の松井氏は、挫折の根本にあるのは“どうもセゾングループが持っている企業体質ではないか”と思い至る。パルコなどに見られる「文化と感性」、「個店経営」、あるいは上司や先輩などの背中を見て育つ「経験主義」などだ。たとえば経験主義については、15年経験を積んで一人前、その体験でこれから起こるさまざまな事象に対応できるといわれていた。結果、商品計画は商品開発者の頭の中、売り場も店長の数だけバリエーションが存在する、という事態を招くこととなる。
人材の成長は企業にとって喜ばしいことだが、反面、延々と個人が積み上げた経験も、その人がいなくなってしまえば会社には何も残らない。実際に西友などでは大きなリストラをして希望退職者を募ると、優秀な人材から会社を離れていったという。
「どうもこれでは勝てないと思った」松井氏は、極めて科学的に、チェーンオペレーションという経営手法を採用し、仕入れや人員の配置などは本部が一括して行い、店舗は販売に集中できる効率的な仕組み作りを目指した。また会社そのものに経験が貯まるように、業務の見える化・マニュアル化も推し進めることにした。
「組織は最初、人のせいにする。たとえばなぜこの店の売上が悪いのかと聞くと、店長が悪いからだといわれる。そんなことはまずない。最終的には企業力で決まる。店長の責任にした瞬間、企業はそこで思考停止になってしまう。」(松井氏)
良品計画は改革の大きなスローガンとして「進化と実行」を掲げ、松井氏は9つの視点から企業改革を推し進めた。ブランドの進化、販売の進化、業務構造の改革、自前化、見える化、業務標準化、ボトムアップ、「決まったことを決まった通りキチンとやる」風土作り、人材の育成だ。
このうちの代表的なものについて紹介していこう。
【次ページ】25項目の重要指標を設定して、出店の妥当性を判断
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