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- 2013/07/08 掲載
楽天のWebアクセス解析チームが明かす、巨大ショッピングサイトのデータ分析
データドリブンのカルチャーを社内に定着させる
「楽天には国内外を含めて4200アカウントのユーザーがAdobe Analyticsを使っている。各ユーザーは1日当たり900回のログインを行い、130の主要なレポートスイート を活用して7800のレポートを出力/配信し、日々の業務に活用しながらWebサービスを運営している。」
つまり楽天では、エンドユーザーが日常業務においてごく普通に、アクセス解析を行っているということ。しかしアクセス解析や最適化に各事業部が独自で取り組くむことには限界がある。そこで同社は全社の横串組織である編成部に、高橋氏がリーダを務めるアクセス解析・最適化推進チームを設置した。英語名のWeb Analytics&Optimizationの頭文字を取って「WAOチーム」と呼ばれるものだ。
「WAOチームは楽天を究極なデータドリブンのカルチャを持った企業にしていくことをビジョンに掲げている。ソリューションのサポートをすることがゴールではない。」
そこでWAOチームでは、事業部の成長度合いを図るための3つのステップを設けている。1つめが、基本的なKPIを決めて、基礎的なアクセス解析を行っていくEssentials、2つめが、解析した結果から仮説を立てて、テストで検証していくOptimization、そして3つめが、さらに詳細な解析を行ってより深い知見を得ていくAdvancedだ。
「これらの指標を各事業部に当てはめてみた時、WAOチームでどうサポートしていくかを考えて、実行に移していく。我々はこれをEnpowerment(=力付ける、勇気付ける)と呼んでいる。25ある海外拠点も国内と変わらないフォロー体制を敷いている。」
参考までに、成功のコンセプトの残り4つは、“常に改善、常に前進”、“Professionalismの徹底”、“顧客満足の最大化”、“スピード!!スピード!!スピード!!”だ。
各事業部門に求められる3タイプの役割
これをもう少し噛み砕いて言えば、始めに事業部や組織の役割を見える化し、データ活用のためのプラットフォームを用意し、さらに活用のための仕組みを提供することで事業部門をエンパワーする。WAOチームはその活動を支援しつつ、Web Analyticsの未来を描くということだ。
「役割を見える化する、プラットフォームを用意する、仕組みでエンパワーする、Web Analyticsの未来を描く。データドリブンな組織を作るためには、この4つの観点が非常に重要だ。」
まず役割の見える化について言及した高橋氏は、「1つの会社の中で同じWebアナリストという肩書きでも、Web解析がメインの人もいれば、仕組みの開発/実装がメインの人もいて、役割の範囲が不明瞭な状況が多々見受けられる」と指摘する。
そこで楽天では、事業部内に置いてほしい3タイプの担当者とその責任範囲を定めている。
1つめが、解析の戦略立案やソリューションの導入、プロジェクト開始の意思決定などを行うStrategic Manager、2つめが、実務面での中心となり、プロジェクトマネジメントを行いながら自身も解析業務を行うWeb Analyst、そして3つめが、実装や開発面からのサポートを行うTechnical Leaderだ。ただし組織規模の大小もあるので、同じ人が複数の役割を兼務する場合もある。
「この各々の役割に対して、求められる知識とスキルを定義している。そしてWAOチームが、必要な知識やスキルを習得するためのトレーニングや情報提供などを担当する。」
また各事業部には当然、3つの役割に相当しないエンドユーザーが大勢いる。こうした人たちに対しても、マニュアルやオンラインビデオ、eラーニングなどを提供することで、アクセス解析に関する知識レベルを担保しているという。
【次ページ】信頼できるデータを得るために分析基盤を再設計
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