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近年、急拡大しているリユース市場。その成長を牽引してきたのが、フリマアプリの「メルカリ」や、店舗型リユースショップの「ゲオ」や「ブックオフ」などだ。市場の過熱を物語るように、ゲオが運営するリユースショップ「セカンドストリート」の人気店には、連日買い取り待ちの行列が途絶えない。そんな注目のリユース市場では今、メルカリ、ゲオ、ブックオフなどの大手企業を脅かす、新たな勢力が誕生している。
絶好調のリユース市場、なぜここまで成長?
リサイクル通信「リユース業界の市場規模推計2023(2022年版)」によると、リユース市場規模は右肩上がりに成長しており、2022年で2兆9,000億円ほどになっており、2030年には4兆円になるという予測もある(図表1)。
市場を牽引してきたのは、ご存知メルカリに代表されるフリマアプリの浸透にあることは間違いなく、メルカリのIR資料にある総流通額の推移(図表2)を見ると、その存在感の大きさもよく分わかるだろう。
2022年度(2023年6月期)には、売上9,846億円に達しており、図表1と照らし合わせて見ると、市場の約1/3をメルカリが占めているという計算になる。
フリマアプリを多くの人が体験したことによって、「これまでは売れると思わなかったような不用品が実は売れる」ということに気付き、リユース市場が活性化したのである。また、コロナ禍の時期、在宅時間が増えたことで家の中を見直す機会が増えたこともあり、「こんなモノでも売れるかもしれない」、と商品を出展してみる人も増えた。
そして、売れる、というだけではなく、自分にとって不用なものでも、使ってくれる人がいるのであれば、捨てるという罪悪感もなくなる。フリマアプリとコロナ禍が相まって、リユース市場は市民権を得た、と言っても良いだろう。
ゲオ・ブックオフは? 店舗型リユースの売上推移
フリマアプリによってリユースが一般化したことによって、従来からあった店舗型リユースショップの需要も拡大に向かっていく。
フリマアプリは優れものではあるが、1つひとつ出品手続きし、売れたら梱包して発送しなければならない。また、買い手との個別交渉が発生することもあり、こうした手順を煩わしいと思う人もいる。また、送料がかかるため、売れる価格によってはアシが出てしまうこともある。
その点、店舗型リユースショップに持っていけば、まとめて一度に数多くのモノを処分出来るという利点が再評価された。図表3は店舗型リユースチェーン大手の売上動向だが、着実に拡大していること、そしてコロナ期に拡大スピードが加速したことが見て取れるだろう。フリマアプリと店舗型リユースショップは競合ではあるのだが、棲み分けをしながら、市場の拡大に貢献しているという関係なのだ。
こうしてリユース市場は拡大してきたのだが、フリマアプリにも店舗型リユースショップにも課題はある。
フリマアプリはスマホがないと使えない一方、店舗型リユースショップにしても郊外のロードサイドに立地していることが多く、持ち込むためにはクルマがないと不便である。そのため、家の中に多くのリユース可能なモノを抱えているはずの高齢者にとっては、フリマアプリもリユースショップもハードルが高いものであった。
このフリマアプリも店舗型リユースショップも手を出せていない市場に対し、今ある企業が積極的に仕掛け、急成長している。メルカリやゲオ、ブックオフすら脅かす企業の全貌に迫る。
【次ページ】メルカリも手がでない…「未開拓市場」を攻める“ある企業”
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