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  • 2025/01/30 掲載

「クスリのアオキ」ら“業態”が圧勝する理由、値上げ時代で儲かるビジネスの定番とは

【連載】流通戦国時代を読み解く

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最近、食品スーパーに並ぶ商品を見て物価高騰を感じるようになった人も多いはずだ。実際に、2023~2024年の期間で値上がりした食品は4万点を越える。物価高騰に加え、人件費の高騰などもあり、直近の食品スーパー各社の収益は悪化してきている。このように食品スーパーの経営にとって厳しい状況が続く中でも、消費者に選ばれ業績好調の企業がある。今回は、消費が冷え込む時代でも儲かる、あるビジネスモデルについて解説したい。
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この時代ならでは?「クスリのアオキ」や「ゲンキー」などの“業態”が強い理由とは
(写真:長田洋平/アフロ)

食品スーパーがヤバい…ここまで収益悪化してる理由

 食品スーパーの収益が悪化している。下の表は主な上場食品スーパーの2024年度中間期決算データから集めたものだが、抽出した16社のうち12社の営業利益率が前年同期比で低下している。その要因を分解してみると、9社で粗利率が低下し、12社で販管費率が上昇している傾向が見て取れた。

 この状況をざっくり理解すると、企業としては徐々に食品の値上げを進めてきたものの、人件費などコストが上昇する中で、まだまだ価格転嫁が進んでいない、ということになる。

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図表1:主な上場食品スーパーの2024年度2Q・収益力指標の動向

 一方で、帝国データバンクが定期的に調査している「食品の値上げ品目数」を見ると、2023年のピーク時には3万2396品目もあった値上がり品が、2024年には1万2520品目と、“値上げ品目自体”は少なくなってきている。

 しかし、2023年に値上げされた商品が、今値下がりしているわけではない。そのため、ここ数年の商品値上げの影響は、生活者のお財布に累積的に効いてきているのだ。

 それも、年々消費者の収入が増えているならいいが、物価上昇に見合うほどの賃上げは実現してはいない。つまり、消費者の生活負担が増す中で、値上げに対する消費者の反応が以前より敏感になってきているのだ。そうしたことから、企業は価格転嫁(コスト増加分の値上げ)が難しくなっているようなのである。

どんな店が消費者に選ばれるようになる?特徴を解説

 そもそも、すべての消費者が一律に「値上げ」に反応している、と考えるべきではないのかもしれない。当然ながら、生活に余裕のある人であれば値上げに耐えられるかもしれないが、生活に余裕のない人であれえば、食費や生活必需品の価格を抑えたり、買い控えをしようとするはずだ。

 実際に、値上げに対する反応の違いが分かるデータがある。家計調査(総務省統計局)データには統計として所得階層別(5階層:低所得階層を1、高所得階層を5)の総支出、食料品支出が月次で公表されているので、簡易的に月間食料費/月間支出を計算してみた(図表2)。

 考えてみれば当たり前なのかもしれないが、所得が少ない階層は、元々消費支出に占める食費の割合が高い(≒生活の余裕が小さい)わけだが、それが最近の物価上昇によって比率がかなり上がってきている。一方、所得が高いグループ層を見ると、大企業に限る賃上げの効果もあるのだろうか、その比率が低下しているのだ。

 つまり、所得の高い層はあまり値上げの影響を受けておらず、所得の少ない層ほど大きな影響を受けるなど、二極化していることが分かる結果となった。

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図表2:消費支出に占める食費の割合(収入階層別)

 ここまでを整理すると、2024年以降に顕著になってきた消費を控える動きは、主として“所得の少ない層”の財布にダメージが累積したことによるものであり、所得の高い層の反応ではない、と考えられる。

 そうであれば、今後、大企業の賃上げがさらに進み、実質賃金データがプラスに転じたとしても、食品など生活必需品の消費傾向が大きく変わる可能性は低い。なぜなら、所得の高い層がさらに収入が増えたからといって、食品や生活必需品への支出を大きく増やすことはないからである(それまでにも十分使っている)。

 2025年は食品の値上げ品目は2024年を上回り1.5万~2万品目に達する可能性があると帝国データバンクでは予想している。2025年も実質賃金のマイナスを強いられるかもしれない中小企業勤務者は、今後、“より安い商品”を求めて、“価格訴求型の小売業”の利用頻度を高めることが予想される。

 それでは、現段階でどの小売店が消費者に選ばれているのだろうか。ここからは、実際に業績を比較しながら、どの小売店が伸びているのか、その理由はどこにあるのかを見ていきたい。 【次ページ】消費冷え込み時代でも…儲かっている企業はどこ?
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