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- 2021/03/01 掲載
コロナ克服後も、ショッピングモールに“人が戻らない”悲惨な敗因
平常運転に戻った中国経済
中国の実体経済が復調してきている。新型コロナの感染が拡大した2020年第1四半期には、GDP成長率が-6.8%と大幅な落ち込みとなったが、第2四半期には3.2%とプラスに転じ、第4四半期には6.5%と平常運転に戻っている。市民感覚でも3月の頭には終息が見え、6月には終息したと感じ、9月には中国政府が人民大会堂でコロナ感染対策の功労者の表彰式を行い、実質的な終息宣言を行った。現在でも、無症状感染者が発見され、散発的に小規模クラスターが発生しているが、コロナ対策チームが急行してその地区を封鎖し、住民、関係者全員を一斉にPCR検査をするという最後の掃討戦を行っている。
市民は、新型コロナのことはすっかり忘れている印象だが、それでも公共交通機関を利用するときには健康コード(緑、黄、赤で感染リスクを表示するスマホアプリ)の提示、店舗を利用するときはマスク着用と体温検査、さらに長距離移動の制限、自粛は続いている。
今も苦しむ3大業種「旅客・飲食・大型小売店」
多くの業種でコロナ禍の影響は薄れてきているが、いまだ苦しんでいるのが、旅客関係、飲食店、大型小売店の3つだ。旅客関係は、海外旅行、国内長距離移動が制限されているため致し方ないが、「内循環」と呼ばれる現象が起きている。移動制限を受けない都市内、省内で旅行を楽しむ現象だ。そのため、有名観光地では以前と変わらないにぎわいが戻ってきている。移動制限が解除されるに伴い、復調傾向も進むと期待されている。
飲食店は客足が戻り切らない。感染に対する不安というよりも、内食の習慣ができてしまったことが大きいと言われる。生鮮ECや新小売スーパーを利用して、生鮮食品を宅配してもらい、自宅で調理をする。また、火鍋など、本格的な味を楽しめる冷凍セットを各飲食チェーンがEC販売する「外食の小売化」も進んだ。
さらに、フードデリバリーもごく日常のものとなり、客足は前年の8割程度という感覚だが、前年並みの売上を確保している飲食店も増えてきている。
一方で、明るい兆しが見えないのが大型小売店、特にショッピングモールだ。ショッピングモールは、集客をすることが最優先事項のビジネスモデルであるため、中国で進んでいる新小売(店舗、デリバリー、ライブコマースなどを駆使して、店舗とオンラインの両方で顧客を獲得する業態)への対応が遅れた。
ショッピングモールは、駅ビルの中や駅に隣接をした都市型モールと、郊外に立地する郊外型モールに大別できる。都市型モールでは、通勤や外出のついでに立ち寄る客がいるためまだ落ち込みは小さいが、わざわざ行かなければならない郊外型モールはいまだに苦しみ、店舗の撤退も始まっている。中には、店舗入居率が50%を切り、ショッピングモールの運営そのものが危うくなっているところもあるという。
【次ページ】ショッピングモールに人が戻らない理由、中国小売業の勢力地図に変化
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