- 会員限定
- 2025/01/21 掲載
結局「BYD」は何が凄いのか? “CEOの涙”から5年…「一強」にまで伸びた独特経営手法
EVシフト進む中国で「一強」になりつつあるBYD
世界的にEVシフトの鈍化がみられるが、世界最大の自動車市場(台数ベース)である中国国内では実は異なる動きを見せている。2023年は新エネルギー車(New Energy Vehicle:電気自動車とプラグインハイブリッド車)の販売は力強く成長したが、2024年はそれに輪をかけて成長した。3月には前年比30.7%増、10月には54.9%増となった。その中でも強いのがBYDだ。2024年1月から11月までの販売台数シェアは、BYDが44.6%となり圧倒的であり、一強の状況になってきている。
もともとバッテリー製造企業だからこその強み
BYDはなぜここまで伸びているのか。まずBYDが強い点は、コア技術を2つ持っていることだ。1つ目のコア技術「ブレードバッテリー」は、成熟した技術とされていたリン酸鉄系リチウムイオン電池を改良して、エネルギー密度が高い三元系リチウム電池に近い性能を実現したもの。
リン酸鉄系電池は安価、長寿命、安全という利点があるが、エネルギー密度が低いことが欠点だった。電池の容積のうち、半分程度は衝撃から電池を保護するパッケージや配線、制御部品などで占められている。
ブレードバッテリーは、電池セルを大型化し、板状にして並べて配置することで、セル自体も支持材として利用している。これにより、パッケージの負担を減らして配線系を最適化し、セルのエネルギー密度は上げられなくても、パッケージ全体のエネルギー密度を上げることに成功した。
結果として、ブレードバッテリーのエネルギー密度は160Wh/Lに達し、三元系リチウム電池の210Wh/Lに迫っている。この技術により、安価で安全かつ長寿命のバッテリーを実現させた。 【次ページ】BEVとPHEV「どっちも強い」が意味する本当のメリット
関連コンテンツ
PR
PR
PR