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  • 2025/03/12 掲載

ホンダと日産の「経営統合」は結局何だったのか? 裏にある王者テスラへの「焦燥感」

連載:EV最前線~ビジネスと社会はどう変わるのか

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今年2月、2024年の末から大きな注目を集めていた本田技研工業(以下、ホンダ)と日産自動車(以下、日産)との経営統合の動きが終焉を迎えた。今回の1件をEVの視点から振り返ると、2040年に新車の完全EV化を掲げているホンダならではの「焦燥感」が浮き彫りになってくる。EV市場の「絶対王者」とも言える米テスラや台頭著しい中国BYDなど、群雄割拠がひしめく中での戦いを強いられるホンダは、経営統合にどんな夢を見ていたのか。EV推進に舵を切るホンダの現在地とともに解説する。
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幻に終わった日産との経営統合に見るホンダの「焦燥感」とは
(出典元: Jay Hirano / Shutterstock.com)

「幻」に終わった日産とホンダの経営統合

 それは、突然だった。2024年4月、ホンダと日産が共同記者会見を開き、「自動車の電動化・知能化の時代に向けた戦略的パートナーシップの検討を開始」すると発表した。

 さらにその後、同年8月には、「次世代SDVプラットフォームの基礎的要素技術の共同研究契約を締結」を発表。同年12月には、「経営統合に向けた検討に関する基本合意書を締結」と、両者の蜜月ぶりは一気に前進したかに見えた。

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ホンダと日産は2024年の12月には「経営統合に向けた検討に関する基本合意書」を締結していた
(写真:ロイター/アフロ)

 ところが年が明け、今年2月になって、「経営統合に向けた検討に関する基本合意書の解約」が行われ、周知の通り両社統合は幻に終わった。

 1年も経たずに終止符が打たれた両社の経営統合への道筋だが、振り返ると、ホンダの三部敏宏社長の焦燥が、ひしひしと伝わる出来事だった。それは、この半年ほどの国内外のEV動向、特に自動運転分野の動きを整理していけば推察できる。

テスラとの間にある「圧倒的な差」

 自動運転に関して、米国のテスラが2024年11月、同社の自動運転技術FSD(Full Self Driving)をバージョン13(V13)にアップデートした。同年春にV12への更新が行われたばかりにも関わらずの出来事だった。

 FSDとは、運転支援の分類としては、レベル2でありながら、運転操作をすべてクルマが自動で行う機能である。

 運転支援機能は、世界的に5段階のレベルに分類されている。具体的なレベルごとの違いは下図の通りだ。

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自動運転における5つのレベル
(出典:国土交通省の資料をもとに編集部作成)


 テスラのFSDは、現状レベル2なので、運転者が前方やクルマの周囲を監視し、危険が及びそうな場面では自ら運転する介入が必要だ。とはいえ、実際に米国で実用化されているFSDは、ほとんど人間の介入なしに走行できるまでに仕上がっている。

 それでも、V12までについては、まだその性能が完全とは言えず、たとえば、2024年7月の時事通信の記事では、V12(この映像はV11の可能性もある)走行中にやや心もとないというか、運転者が不安に思う場面も見受けられる。

 ところが、V13の発表後にX上で公開された米国でテスラ車を所有する人の映像などでは、一般道も高速道路(米国のフリーウェイ)も何ら不安のない走りが映し出されている。

 唯一懸念点らしきものを挙げると、EV充電事業などをてがけるスタートアップ企業、ENECHANGEのブログで公開されている映像では、ショッピングモールなど広い駐車場でテスラの急速充電機・スーパーチャージャーを利用しようとした際に、駐車枠をズレたり、駐車場所を探しあぐねたりした。だが、全行程250kmに及んだという移動では、何ら問題ない走りをしたと見受けられる。 【次ページ】日産との経営統合であり得た「あるメリット」
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