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- 2024/10/24 掲載
相性抜群の「スーパーアプリ×生成AI」、アリババが無双の予兆「AI実装」何が凄い?
勝敗が見え始めた中国の生成AIアプリ競争
中国の主要テック企業は、大規模言語モデル(LLM)に基づく生成AIアプリを続々と発表してきたが、2024年6月時点で、月間アクティブユーザー数(MAU)が1000万人を超えているのは、バイトダンスの「豆包」(ドウバオ)、バイドゥの「文心一言」(ウェンシン)の2つだけとなった。
さらに、主要な生成AIアプリと言える76種類のうち、82.9%にあたる63種類がMAU50万人以下の実質的な仮死状態に陥っている。スマートフォンやPCから対話型生成AIを利用するというブームは完全に終わったと見られている。
トレンドは「All in AI」から「AI in All」に変化
中国のテクノロジーに対する基本姿勢は、基礎研究は米国の後を追い、応用面で米国を追い越すというものだ。その典型例が自動運転で、開発そのものは米国の後追いであったものの、実際に自動運転車を乗用車として販売したり、ロボタクシーを街中に走らせたりという点では米国に先行した。生成AIも同様の傾向を見せている。2022年11月に米OpenAIがChatGPTを公開すると、世界中で生成AIブームが起こり、中国主要テック企業も追従してLLMと対話型生成AIアプリを続々と発表していった。この当時のキーワードは「All in AI」(すべての情報処理はAIで)だった。
しかし現在では、キーワードが「AI in All」(すべてのものにAIを)に変わっている。簡単に言えば、さまざまなサービスに対話型生成AIの実装が試みられている。動画編集アプリに画像/動画生成AIが搭載され、ニュースアプリにはAI検索が搭載されるようになった。しかし、利用者はどう使ったらいいか困惑しているようなところもあり、AI in Allはまだまだ手探りの段階だ。
その中で、「通義千問」(Qwen)というLLMを開発したアリババが、自社のスマホ決済アプリ「アリペイ」、ECアプリ「タオバオ」に対話型生成AIを搭載した。これが非常に高く評価され、生活や消費の行動を変えるきっかけになるのではないかと期待されている。 【次ページ】革命の下地ができていた、アリババのスーパーアプリ
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