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- 2025/04/09 掲載
半数以上が大苦戦…企業AI活用の「データ管理の大問題」、ガートナー流の解決メソッド
一部内容に誤りがありました。本文は修正済みです。ご迷惑をおかけした読者ならびに関係者にお詫び申し上げます。
誤:ガードナー
正:ガートナー
誤:アナリ
正:アナリスト
なぜAI「唯一の差別化」はデータと言えるのか
日々、驚くべき速さで進化を遂げる生成AI。企業にとって、AI活用による生産性向上や広出不足の解消はもはや他人事ではなくなりつつある。そんなAIについて「生成AIに限らず、AIの各種モデルはすでに“既製品”になっています。その中での他社との差別化の一番の要素こそデータにほかなりません」と解説するのは、ガートナー シニア ディレクター,アナリストのステファン・エモット氏だ。

シニア ディレクター,アナリスト
ステファン・エモット氏
ただ、データの重要性の一方で、「データをいかに準備するか」という疑問は、一朝一夕には解けない難題でもある。
エモット氏も、AI利用を想定したいわゆる「AI-Ready」なデータをめぐる状況について、「そもそも我々は過去、その要件などについて議論した経験がありません。どんなデータを、どのような形で、どう提供すべきかという点から議論を始めねばなりません」と指摘する。
そんなAI-Readyデータについて、まず理解すべきこととしてエモット氏が挙げるのが、AIにはいくつもの手法(種類)があるという点だ。
AIの歴史を振り返れば、事象の認識や推論による予測、判断、提案、自己学習による処理結果の品質向上など、多様なアプローチで開発が進められてきた。
「特性は当然異なり、たとえば、生成AIは知識発見を得意とする一方で、予想/予測はそうでなく、シミュレーションは逆に予想/予測が得意で知識発見を不得手します。AIごとに求めるデータの要件は異なり、AI-Readyデータの整備とは極言すれば、要件に応じた迅速なデータ提供を可能とするデータ管理の体制づくりにほかなりません」(エモット氏)
犬を見た時の人間とAI「最大の違い」
加えて、AI-Readyデータの整備では、「コンテキスト(文脈)の提供」への配慮も不可欠だという。たとえば画像認識において、一見すると極めて類似する「丸まって寝ている茶色い犬」と「ベーグル」の画像について、人であれば見分けることが可能だが、AIではそれが難しい。その根底にあるのが、人とAIの認識方法の違いだ。「人は経験という文脈を基に、実際のデータに抜けている属性も類推して判断するのに対して、AIは細部の情報を積み上げて判断を行います。AIは文脈を事前に備えておらず、データに文脈が抜けている場合には、学習データを何らかの形で補填(ほてん)せねばなりません」(エモット氏)
AIの用途開拓は今後、さらに進むことは確実だ。そこでの迅速なデータの準備に向け、正式に管理しているデータのみならず、部門レベルなど、非公式に管理しているデータもAI-Readyデータに含めた管理体制を取るべきだとエモット氏は話す。
【次ページ】半数以上の企業が「データ保有」で大苦戦するワケ
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