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- 2025/01/27 掲載
トランプは欲しいTikTok、たとえイーロンが買収しても「TikTok問題」は終わらないワケ
配信停止から一夜…トランプ氏のひと声で急転
1月18日、「TikTok禁止法」の期限である19日を前に、アップルとグーグルは米国でのアプリストアでTikTokアプリの配信を停止した。また、米国ではTikTokを開いてもアプリが利用できない状態にもなった。しかし、翌日19日、ドナルド・トランプ米大統領がTikTok停止を75日間猶予する大統領令を出し、TikTokがサービスを再開するなど、状況が二転三転している(禁止法自体は発効しているため、アップルとグーグルは訴追リスクを懸念して配信停止を続けている)。
TikTok上の再開メッセージには「トランプ大統領の尽力により」という文言があったが、1月20日の大統領就任式にはTikTokの周受資(ショー・チュー)CEOの出席も事前に決まっていたのだから、あうんの呼吸による茶番にも見える。
このトランプ大統領とチューCEOの関係を考えれば、今後も猶予が繰り返され、ソフトな着地をすると見るのが自然だ。しかし、TikTokに対する懸念は根深い。今後も、反対派と支持派の間でTikTokは揺れ続けることになるだろう。
そもそも米国でTikTokが禁止された「2つの論点」
そもそもTikTokの何が問題なのか。日本の多くのメディアが「安全保障上の理由により」と報じているため、「米国人の個人情報が中国政府にわたる可能性」が問題なのだと認識している人も多いと思う。たしかに最初はそこが問題視された。これにより、米国下院エネルギー・商業委員会は2023年3月23日、チューCEOを召喚して公聴会を開催した。
「TikTok: How Congress Can Safeguard American Data Privacy and Protect Children from Online Harms」(TikTok:米国人のデータプライバシーと子どもたちのオンライン被害を、議会はどのように守ることができるか)というタイトルで、その映像はノーカットで公開されている。
この公聴会のタイトルにあるように、問題となっていたのは「データプライバシー」と「未成年のオンライン被害」だ。
データプライバシーに関しては、TikTokは対策を進めていた。米国のTikTokのユーザーデータは、それまでシンガポールと米国各地のサーバに蓄積されていた。これをテキサス州にあるオラクル社が管理するサーバに移管する取り組みを開始した。それだけでなく、オラクル社がデータに関しても確認を行うため、完了すればオラクル社の管理によりデータが米国外に流出しなくなることが保証される。
また、TikTokの企業秘とも言えるアルゴリズムに関してもオラクル社のレビューが始まっており、万が一、データの一部をひそかに国外に送信する仕組みがあるのであれば、そこで発覚することになる。
この「プロジェクトテキサス」を進めることにより、データプライバシーの問題は完全に解決する。あとは、このプロジェクトが適正な手順で進められていることを確認する必要がある。
公聴会では、このプロジェクトテキサスが適正に進められているかどうかを確認する質問が行われたが、議員側は明らかに準備不足で、的外れの質問が相次いだ。 【次ページ】TikTok CEOが「激詰め」された公聴会で見えた「本音」
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