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  • 2024/09/06 掲載

なぜTikTokは「ヒットの発信地」になった?「×アニメ」がもたらす「勝ち確」の未来

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日本のアニメ産業は3兆円市場に成長したが、さらなる発展を目指すには、いくつかの課題を解決しなければならない。TikTokがアニメ産業の持続的発展を支援する取り組みを開始したのも、それが背景にある。TikTokは日本のアニメにどのような変化をもたらすのか。前編に引き続き、アニメプロデューサーの植田益朗氏とTikTokの日本を含むAPAC地域のコンテンツオペレーションを統括する、TikTok APAC ゼネラルマネージャー 佐藤陽一氏が語り合った。
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TikTok APAC ゼネラルマネージャー 佐藤陽一氏(左)とアニメプロデューサー 植田益朗氏(右)
(写真:大参久人)

TikTok Japan代表が語る、ショートムービーカルチャーの“本質”

──TikTokでは最近、「ショートドラマ」などの新しいカルチャーが生まれていますね。

TikTok 佐藤陽一氏(以下、佐藤氏):「ショートドラマ」は物語形式のコンテンツです。スマートフォンに適した縦型サイズで、ストーリーが数分で完結するため、特にタイパ(タイムパフォーマンス)に敏感な若年層を中心に人気を集めています。

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2024年6月にTikTokが発表した「TikTok上半期トレンド大賞2024」では、「ショートドラマ」が大賞を受賞した
(出典:TikTok Japan)

 ショートムービーは、「長い動画を切り取っただけ」「長い物語のダイジェスト」ととらえられがちですが、そうではありません。ショートムービーだからこそ成り立つストーリー、フォーマット、編集があり、それ自体が1つの独立したコンテンツ形式であって、ある種のイノベーションだと思っています。

 これまで、テレビで放映されるドラマは、30分や1時間が当たり前でした。しかしそれは、見方を変えればメディア側の流通上の都合にすぎません。TikTokのショートドラマは、さまざまなものを極限まで削ぎ落として物語の本質だけを残し、「これでいい」と思わせたところに面白さがあると感じています。

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TikTok APAC ゼネラルマネージャー
佐藤陽一氏
東洋経済新報社、マイクロソフト、グーグルを経て2019年9月にTikTok JapanにHead of Business Developmentとして入社。2020年1月にTikTok Japanゼネラルマネージャーへ就任し、2023年11月より現職

──TikTokのもう1つの特徴として、「つい好きな動画を見てしまう」とよく言われますが、何がそれを作っていると思いますか?

佐藤氏:TikTokのレコメンドシステムはユーザーの皆さんの好みに合わせて動画をおすすめします。加えて、縦型ショートムービーをスマホで見ると心理的な距離がとても近くなるという分析もよく耳にします。テレビのような大きいスクリーンで見ることと手元のスマホで見ることは、まったく違う体験なのです。

 また、コンテンツが次々とTikTokの「おすすめ」フィードに流れてくるので、気持ち的に“構える”必要がないといった分析もあります。レコメンドシステムによく注目いただきますが、決してそれだけではなくて、さまざまな要因があるのが実態だと思います。

TikTokがもたらしたアニメ制作の変化

──TikTokのこうしたショートムービーのカルチャーを植田さんはどうみていますか。

アニメプロデューサー 植田益朗氏(以下、植田氏):実はショートムービーは、アニメも含めたすべての映像作品の基本なのです。何を伝えたいのか、どう見せるのか、基本的な映像の技術などがすべて詰まっているからです。20年以上前に、俳優の別所哲也さんが短編映画を対象とした映画祭「ショートショートフィルムフェスティバル」を初めて主宰されたとき、私も少しだけ協力したのですが、なぜショートムービーなのかというと、そこに監督の能力が現れるからなのです。

 実際に、ハリウッドなどの大手資本は、ショートムービーを評価して新たな才能を発掘し、投資するかどうかを決めることも珍しくありません。

 ただ、映像を作ってきた人間としては、伝えたいことがあるのなら、10秒のショートムービーでも、1時間や2時間の映画でも、同じように伝えられなければならないということだけは、忘れないようしたいですね。

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スカイフォール代表取締役
植田益朗氏
1979年日本サンライズ(現バンダイナムコフィルムワークス)入社。『機動戦士ガンダム』の制作を経て、劇場版『機動戦士ガンダムIII めぐりあい宇宙』が初プロデュース。以後『銀河漂流バイファム』『シティーハンター』『∀ガンダム』など、数々の名作・ヒット作を手がける。「機動戦士ガンダム生誕20周年記念プロジェクト」完遂後、2000年にサンライズを退社。フリープロデューサーとして『犬夜叉』の制作に携わる。アニプレックス立ち上げ時に制作統括として参画。その後A-1 Pictures社長、アニプレックス社長・会長を歴任。2023年よりNAFCA(一般社団法人日本アニメフィルム文化連盟)代表理事
【次ページ】植田氏がヤンマーと進める、まったく新しいアニメ制作に込めた思い

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