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  • 2024/08/29 掲載

「もっと世界で輝ける」ガンダム育ての親とTikTokが描く、日本アニメの超発展シナリオ

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日本のアニメは、今や日本を代表する産業へと成長し、海外のファンも多い。その人気ぶりはとどまるところを知らず、国を挙げた産業振興の取り組みも始まっている。一方、長くガンダムシリーズの作品などを手がけてきたアニメプロデューサー 植田益朗氏は「このままでは持続的発展は難しい」と現状を語る。2024年5月にアニメ業界との連携を発表したTikTokの日本を含むAPAC地域のコンテンツオペレーションを統括する、TikTok APAC ゼネラルマネージャー 代表 佐藤陽一氏とともに、日本アニメの現在と未来を語り合った。
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植田益朗氏(左)とTikTok APAC ゼネラルマネージャー 佐藤陽一氏(右)
(写真:大参久人)

世界が熱狂する日本のアニメ、なぜTikTokが支援?

──TikTokは、5月のニュースリリースでアニメ産業の持続的発展を支援する取り組みを発表しました。まずは、その背景について聞かせてください。

TikTok 佐藤陽一氏(以下、佐藤氏):世界中で日本アニメの人気が高いことは、周知の事実です。直近でも、『鬼滅の刃』のワールドツアーは世界95カ国(2023年、2024年はさらに拡大)で開催され、『推しの子』の主題歌「アイドル」が米ビルボード・グローバル・チャートで1位を獲得したり、映画『THE FIRST SLAM DUNK』が特に中韓で日本以上のメガヒットにつながったりと、世界中で人気を博しています。

 一方で、業界を支えるアニメーターの人材不足や育成システムの脆弱性などの課題が多く存在しており、日本を代表する文化となったアニメ産業の持続的発展が危機にさらされている現状があります。

 そこで、こうした課題解決の一助となるように、アニメ文化の発展を支援する取り組みとして、一般社団法人日本アニメフィルム文化連盟(NAFCA)への寄付、アニメーター育成のための「アニメータースキル検定」の支援、アニメ制作スタジオの魅力を伝える動画の発信などの取り組みを微力ながら行うことを発表しました。

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TikTok APAC ゼネラルマネージャー佐藤陽一氏
東洋経済新報社、マイクロソフト、グーグルを経て2019年9月にTikTok JapanにHead of Business Developmentとして入社。2020年1月にTikTok Japanゼネラルマネージャーへ就任し、2023年11月より現職

──植田さんはNAFCAの代表理事であり、もともとTikTokに声をかけられたのも植田さんだと聞いていますが、なぜTikTokだったのでしょうか。

アニメプロデューサー 植田益朗氏(以下、植田氏):TikTokさんがさまざまな業界やカルチャーを支援されていることを知り、「アニメータースキル検定」でご協力いただけないかと考えて、声をかけさせていただきました。また、TikTokは若い人たちを中心に幅広い世代に利用されているプラットフォームですので、アニメーションの魅力を伝えて、日本アニメのすそ野を広げていくのにも最適だと考えました。

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スカイフォール 代表取締役
植田益朗氏
1979年日本サンライズ(現バンダイナムコフィルムワークス)入社。『機動戦士ガンダム』の制作を経て、劇場版『機動戦士ガンダムIII めぐりあい宇宙』が初プロデュース。以後『銀河漂流バイファム』『シティーハンター』『∀ガンダム』など、数々の名作・ヒット作を手がける。「機動戦士ガンダム生誕20周年記念プロジェクト」完遂後、2000年にサンライズを退社。フリープロデューサーとして『犬夜叉』の制作に携わる。アニプレックス立ち上げ時に制作統括として参画。その後A-1 Pictures社長、アニプレックス社長・会長を歴任。2023年よりNAFCA(一般社団法人日本アニメフィルム文化連盟)代表理事

「ガンダム」育ての親が危惧する、日本アニメ界の今

──数々のヒットアニメを手がけられてきた植田さんから見た、アニメ業界が抱えている課題は何でしょうか。

植田氏:1つは人手不足です。アニメーターを含む、すべての人材が不足しています。2つ目はアニメスタジオの経営問題です。スタジオが安定していなければ、クリエイターや所属している社員が思い切って能力を発揮できません。

 人手不足がゆえに、実績がないアニメーターに仕事を依頼してみたら品質に問題があり、ベテランのアニメーターがそれを修正していくといった非効率なことが現実に起きています。また、ベテランのアニメーターが高齢化しているのも問題です。

 このままでは、アニメに夢を持って取り組んでいる人たちが疲弊し、業界を去っていきかねません。関係者の努力で3兆円規模の産業に成長したのですから、これを5兆円、10兆円とさらなる成長を目指すためにも、業界内だけでなく国会議員や行政、またアニメファンの方々にもこうした問題を知っていただき、支援をお願いしていきたいと思っております。 【次ページ】アニメ産業が「持続的」に発展していくために必要な視点
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