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- 2024/12/03 掲載
すべてイーロンの「計略どおり」、トランプ政権入りで「テスラ」が得られるものとは
トランプ復活後、テスラ株は「300ドル超」高値維持
2024年10月、当初の予定よりも2カ月遅れとなって発表されたテスラのロボタクシー「サイバーキャブ」。2026年中に3万ドル程度の価格で一般向けに販売するとして話題となったが、市場の反応は芳しくなかった。テスラ株は発表直後に10%以上急落し、発表内容の具体性の無さなどが指摘された。ところがその後、テスラの第3四半期の決算が発表され、増収が伝えられると、株価は徐々に上がり、イーロン・マスク氏が熱烈応援していたドナルド・トランプ氏の大統領返り咲きが決定してからは連日300ドル超えの高値を維持している。さらにトランプ氏は、新政権で新設する「政府経費削減省」のトップにマスク氏を据えると発表した。
結果論ではあるが、マスク氏はこうした結果を10月の発表時にすでに読み込んでいたとも言える。10月10日に行われたサイバーキャブ発表イベントでマスク氏が語ったことの中で特筆すべきは、「来年(2025年)からカリフォルニアとテキサスでModel 3とModel Yの、完全に政府規制に沿ったかたちでの完全自動運転運行を開始する」という点だ。
米国で「完全」自動運転が実現できていない理由
米国では完全自動運転の運行に対して厳しい規制が存在する。グーグル傘下のウェイモ、GM傘下のクルーズなどがサンフランシスコや一部のアリゾナなどでしかロボタクシーを実現できていないのは、完全なマッピングに時間がかかるのと同時に、規制をクリアしつつ事業を進めているためだ。テスラの自動運転はこれまで「レベル1か2程度」と批判されてきたが、これはこうした規制に沿わない独自路線を貫いていたためで、テスラが提供するFSD(Ful Self Driving)ソフトを使って自動運転走行をしても、政府が算出する「完全自動運転の実験走行距離」には含まれない。一方でテスラは「オーナーの自己責任」とうたうことにより、多くの利用者のデータを蓄積することに成功してきた。
言い換えれば、完全なマッピングを行い徐々にロボタクシー事業を拡大するウェイモやクルーズに対し、テスラはサイバーキャブ発売により一気に自動運転サービスを全米もしくは世界に広げることも可能となる。
そこで問題となるのが、現在の規制だ。 【次ページ】本来、サイバーキャブは多くの州で「走行不可」のはずだったが……
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