- 会員限定
- 2025/02/17 掲載
減りゆくユニコーン企業、DeepSeekだけじゃない「次に来る」中国スタートアップ3社
2024年の新規ユニコーンはピーク時の「1/6以下」に
ここ数年、ユニコーン企業が生まれづらくなっている。市場が成熟し、急成長が簡単ではない経済状況に加えて、2023年には米国でユニコーン企業の破綻が相次ぎ、投資家、投資機関が、成長性よりも確実性を重視するようになったことも影響している。中国ではさらに中国独自の問題もあり、投資家がより慎重になっている。ユニコーン企業とは、「企業価値10億ドル以上」「未上場」「創業10年以内」の企業のことを指す。この条件だけを見れば株式公開目前であり、投資家にとっては熟しきって今にも落ちてきそうな果実に見える。そのため、投資家たちはユニコーン企業に投資をしたがり、潜在ユニコーン企業の存在にアンテナを張っている。
ところが、中国のユニコーン企業には米中貿易摩擦の影響が大きく波及し、上場後のパフォーマンスが悪化している。特に米国の証券市場に上場した企業にその傾向が顕著だ。米国の投資家たちがチャイナリスクを考えるようになり、株価が上がらないのだ。
2021年は、海外市場に中国ユニコーン企業24社が上場し、公開日終値による企業価値合計は3,641億ドルにもなった。1社平均は約150億ドル(約2.3兆円)になる。ところが、2023年には19社が上場し、企業価値合計は649億ドルだった。1社平均では約34億ドル(約5,200億円)にしかならない。公開価格が低いだけでなく、初日から下げる展開が多くなっている。
「ハード」と「医療」に資金が集まる中国独自の事情
こうした状況により、中国のスタートアップ企業、ユニコーン企業の景色は大きく変わってきている。コロナ禍前は、オンラインサービスとフィンテックが花形だったが、現在ではハードウェア製造と医療健康が中心になっている。この2つの業種は、まず何らかのコア技術があって、それを事業化するために起業をするケースが多い。そのため、失敗をする確率が小さく、失敗をしてもコア技術を売却することが可能だ。確実性が高い事業と見なされ、投資が集中している。
一方、以前のオンラインサービスやフィンテックは、アイデアが核になってそれを事業化するものだった。アイデアさえ良ければ成功する可能性は高く、開発に必要なものは創業者とPCだけという手軽さがあった。そのため、各地にインキュベーター施設が設立されて、毎日のようにコンテストやデモイベントが開催され、そこに投資機関から個人投資家までが集まってきていた。現在は、このようなインキュベーターの数は激減し、起業を目指す人たちは資金調達に苦労するようになっている。
このように中国のスタートアップを取り巻く環境は厳しくなってきているものの、「事業」と「資金調達」の両方の課題をクリアしてユニコーンに成長した企業はある。世間を賑わせたAIスタートアップDeepSeekが記憶に新しいが、事業が魅力的なだけでなく、資金調達も独特の手法で可能にしたことから、今後の起業家の教科書になるのではないかと言われている3社を紹介する。 【次ページ】DeepSeekだけじゃない凄い中華AI、バイトダンス創業者が惚れた才能
関連コンテンツ
PR
PR
PR