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  • 2013/02/27 掲載

O2Oサービス「ウルトラ集客」の破壊力、ヤフーのトップページから全国4万店舗へ送客

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ネットとリアルを結びつける販売促進やマーケティングの手法として、O2O(Online to Offline)が注目を集めている。これに伴って、O2Oのサービスを提供する企業やWebサイトも増えてきたが、「その多くはいまだ実証実験の域を出ていない」と指摘するのはソフトバンクテレコムの藤平大輔氏だ。同社は2012年10月よりヤフー(以下、Yahoo! JAPAN)とともに、「ウルトラ集客」を開始した。このサービスは、圧倒的なメディアパワーを持つYahoo! JAPANで、トップページを含めた配下のページで商品を露出し、その読者を全国4万店のリアル店舗網へと集客するO2Oサービスだ。藤平氏は、「1万人送り込んでも1万店舗なら各店1人に過ぎない。リアル店舗網を最大限活用できるのはYahoo! JAPANしかいなかった」とサービス誕生の裏側を明かした。

リアル店舗網を最大限活用できるのはYahoo! JAPANしかなかった

photo
ソフトバンクテレコム
パートナー営業本部
ソリューション推進統括部
O2O戦略企画室
室長
藤平大輔 氏
画像
ウルトラ集客の活用イメージ
photo
CouponGATEと呼ばれる専用端末でネットクーポンを引き換えている様子
──Yahoo! JAPANとソフトバンクテレコムが2012年の10月から開始した「ウルトラ集客」について、具体的にどういうサービスなのがお聞かせください。

 端的に言えば、インターネット上の消費者を実際の店舗へ来店促進し、購買につなげるO2Oのサービスです。具体的にはまず、Yahoo! JAPANのトップページを含めた配下のページにおいて、クライアント企業の商品について告知を行います。その際、商品を割引、交換できるクーポン情報を発行し、実店舗へ誘導します。店舗に設置されている端末にバーコードをかざすとクーポン券が発行され、商品と引き替えられます。実際に引き換えられたかどうかを把握することが可能なのはもちろん、一度引き換えたクーポンは再度利用することはできない仕組み(消し込み機能)を備えています。これにより、商品のPRやマーケティングサンプリングの取得が可能になるほか、実際の店舗へ集客を促す効果があります。

 ソフトバンクテレコムでは、全国の大手総合スーパーなどの店舗に「CouponGATE」という専用端末を設置、またコンビニと提携して各コンビニの情報端末やレジでクーポンを読める仕組みを構築し、3月末には全国約4万店舗で利用できるサービスになっています。

──各社こぞってO2Oサービスを展開していますが、他のO2Oサービスとの違いについてお聞かせください。

 現在、さまざまな理由から注目されているO2Oですが、現状ではほとんどのO2Oサービスがいまだ実証実験レベルにとどまっています。中でもO2Oで重要なのが、いかにオンラインで人を集めるのかという集客施策なのですが、そこは顧客任せというサービスも少なくありません。

 その点、ウルトラ集客は圧倒的なメディアパワーを持つYahoo! JAPANを利用します。既に数十万人規模の会員登録や送客の実績もあり、他のO2Oサービスとは次元が違うといってよいと思います。

──Yahoo! JAPANと組まれることになったのは、どういう経緯からでしょうか。

 もともと、O2Oという言葉もない4年以上前から、インターネットからオフラインのコンバージョンを実現させる事業を手がけており、当時大手コンビニエンスストアさんと組んで、電子クーポンの仕組みを構築しました。同社は全国に1万店舗以上の巨大なインフラをお持ちです。したがって、仮に1万人のお客さまを店舗に誘導できたとしても、1店舗に1人も送客できないのです。

 しかし、そのコンビニエンスストアさんのホームページなどに誘導用のページも作ったものの、なかなか人が集まりませんでした。リアルの店舗を活かすだけのオンラインパワーが足りなかったのです。そこで目を付けたのがYahoo! JAPANでした。これだけの流通インフラに見合うサービスは、Yahoo! JAPANのほかにありません。そこで、我々から話をもちかけて、ウルトラ集客の前身となるサービスを構築したのです。

新製品のサンプリングや販促に活用

──ウルトラ集客のビジネスモデルについて改めて教えてください。

 ウルトラ集客は大きく分けて2つのビジネスモデルが存在します。まず1つはメーカーのお客さまが、新製品のサンプリングや販促に全国の店舗を活用されるケースです。

 たとえば、新商品発表に合わせたサンプリングを実施する場合、Yahoo! JAPAN上で商品と引き替えできるクーポンを発行します。クーポンを受け取った消費者は、全国の大手総合スーパー、コンビニ、ドラッグストアなどで商品を受け取ることができます。メーカーのお客さまは、サンプリングで得られた消費者の行動を分析し、販促活動に活かすことができます。

──メーカーにとって、商品を無料で配布するメリットは何でしょうか。割引クーポンではダメなのでしょうか?

 日本の消費財の商品サイクルは非常に短く、消費者が新しい商品を手にする期間も非常に限られています。そのため、メーカーにとっては、発売後の短い期間にどれだけ多くの消費者にその商品を手にとってもらえるかが非常に重要なのです。特に説明型の商品の場合、どういう効能があるのかをできるだけ丁寧に理解してもらう必要があるのですが、なかなか説明の機会を得られていません。

 その点、ウルトラ集客では、オンライン上に効能や機能を説明する機会を作ることができますし、さらに簡単なアンケートもとれるので、その内容に基づいたマーケティング施策の検討も考えられます。

 実際、クーポン券の配布前後の販売数の動向を見ると、クーポン配布前に比べて、クーポン配布後は商品の売上が10~20%ほど伸びることがわかっています。

 一方で、割引クーポンを提供した場合、クーポン提供前と後とを比較したときに無料配布ほどの効果が出ないこともわかっています。というのも、割引クーポンは既に当該商品を知っている人が利用するケースが多く、新たな顧客の開拓にはつながりにくいという理由が考えられます。

──商品を受け取る場所であるスーパーやコンビニのメリットは何なのでしょうか。

 商品を渡す場所となるスーパーやコンビニにとっては、新しい顧客が来店することになります。そのため、来店さえしてもらえれば、新規の顧客に対して何らかの施策を打つこともできますし、“ついで買い”も期待できます。

【次ページ】ウルトラ集客の費用対効果は?
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