ファーストリテイリング代表取締役会長兼社長 柳井 正氏
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未曾有の大震災と原発事故に見舞われ、ますます先行きの不透明さを増した日本経済。こうした状況下において、企業が成長を遂げていくためには、グローバル展開がさらに重要性を増してくる。「第二回早稲田会議」において、日本企業がグローバル化するために何が必要となるのか、自社のブランド「ユニクロ」の事例を含めて語ったファーストリテイリングCEO 柳井 正氏の講演を紹介したい。
3.11が日本の大きな岐路になる
2011年5月、早稲田大学国際会議場 井深大記念ホールで第二回となる早稲田会議が開催された。鎌田 薫 早稲田大学総長によるあいさつに続き登壇したのは、衣料品ブランド「ユニクロ」などを傘下に持つ、ファーストリテイリング代表取締役会長兼社長 柳井 正氏。「ファーストリテイリングのグローバル戦略」と題した講演で語られた熱のある提言について、その概要を紹介しよう。
柳井氏は講演の冒頭で、1か月ほど前に訪れたばかりだという中国の急激な成長について触れ、「新しい大都市というものは、こういうものかと改めて感じた」と好景気に沸く北京や上海の印象を語った。また、日本に戻ってみると、震災による自粛と自主規制によって東京は真っ暗になっており、「今まではアジアの中心は東京だったが、それが北京や上海、香港、シンガポールに移るのではないかという危惧を感じた」と、日本の現状に対する危機感を述べる。
こうした中で柳井氏は、これからの日本がこのまま貧しい国となってしまうのか、あるいは世界で成長できる新しい日本になれるか、東日本大震災が起きた「3.11」にその大きな岐路になると指摘。これからの日本が、大航海時代後に没落したヨーロッパ小国のようになるのか、あるいは英国病から復活した英国のようになるのか、あるいはゼロから建国としたシンガポールのようになるのか、それともまったく別の国になるのか、今は瀬戸際にあると語り、日本が生き残っていくためには「企業も人も、世界へ出て成長しなければならない」と、グローバル化の必要性を強調した。
1990年のバブル崩壊以前から日本の凋落が始まっていたと分析する柳井氏は、20年以上にわたる日本の停滞の背景には、「世界を知らない、知ろうとしない」日本人の体質が影響していると語り、「村社会」「なあなあ主義」「規律がない」「向上心がない」といった価値観に代表されるような、変化を避ける古い日本の体質から脱却できなければ、グローバル社会に適応できないと警鐘を鳴らす。
そして柳井氏は、日本人と日本企業がグローバル化するために、「忍耐」や「真善美」といった従来の日本人が持つ価値観の良い部分を強化し、「物質主義」や「旦那商売」といったマイナスの面を抑制し、「本音で意見の対立を恐れない、現実を直視して課題を解決する」精神を育まなければならないと指摘した。
この記事の続き>> グローバル化するということは、常識や世界を変えること
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