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  • 2012/06/01 掲載

ひと目で分かる電子マネーの最新動向、主要6社に聞いた2兆円の消費マネーの行方

2012年は本格的な普及期へ突入

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2012年の電子マネー/ポストペイビジネスは踊り場を迎えたといっても過言ではない。「Edy」「Suica」「PASMO」「ICOCA」「nanaco」「WAON」といった電子マネー、「iD」と「QUICPay」といったポストペイの発行枚数は日本の総人口を上回り、高齢層や女性・主婦層、そして小規模小売店に広がり、いよいよ実際の生活シーンに浸透したと言える。決済総額2兆円の消費マネーはどこに向かっているのか。決済1兆円を突破したイオンの上山政道氏、本日から社名/サービス名を変更した楽天Edyの宮沢和正氏など、主要電子マネー6社のキーパーソンに話を聞くとともに、NFCやシンクライアント化する決済端末などの関連動向を紹介する。
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 今やすっかり生活者に浸透した電子マネー。2011年は、主要電子マネーの決済総額が2兆円を超えたという報道もある。電子マネーが市民権を得たとされるのは2007年だが、流通系電子マネーであるイオングループの「WAON」とセブン&アイ・ホールディングスの「nanaco」の登場が大きな影響をもたらした。

主要電子マネーの現状
Edy
(2012年3月末)
Suica
(2012年4月末)
nanaco
(2012年3月末)
WAON
(2012年4月末)
iD
(2012年3月末)
QuicPay
(2011年6月末)
会員数
(発行数)
7000万件3940万件
(うち電子マネーは3709万件)
1653万件約2500万件1650万会員460万会員
加盟店数29万6000箇所17万9090箇所
(相互利用先も含む)
10万4300箇所14万4000箇所55万台弱
(リーダライタ)
26万6,000台
(リーダライタ)

地域展開を強化するイオンの「WAON」

 主要電子マネーの中でも、イオンが2007年4月から発行する「WAON」の2011年度年間決済総額は、2012年2月期に1兆円を突破した。数ある電子マネーの中で、1年間の決済額が1兆円を超えたのは初めてだという。

 イオンの来店客を中心に組織化されたWAONは、女性・主婦層を中心に会員を拡大。また、高齢者からの要望に応えるために「ゆうゆうWAONカード」を発行しており、釣銭を嫌う高齢者から高い支持を受けているそうだ。

 WAONの導入により、イオングループのイオンリテールやマックスバリュなどでは、キャッシュレス化を促進させることに成功した。実際、現金以外の決済割合は30%から55%にまで拡大した。

 WAONは、決済単価の平均も約1,740円と、他の電子マネーに比べて高いという特徴がある。月の平均利用回数も多いため、入金限度額も顧客の声に応え、従来の2万円から5万円にアップしている。

 また、地域加盟店開拓の展開として注力しているのが「ご当地WAON」の発行だ。同社では73種類の地域カードを発行しており、WAONを通じて地域への社会貢献や観光振興・子育て支援などに役立ててもらう取り組みを全国各地で進めている。

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イオンは東北への復興支援(子育て支援)に全国の利用者が参加可能な電子マネー「東北復興支援WAON」を販売

 イオン グループ電子マネー事業責任者 上山政道氏は、「現在、39の道府県と提携していますが、今年度中には全都道府県に広げていきたいと考えています。地域WAONカードは利用金額0.1%を各地域に寄付する仕組みですが、WAONカード全体の平均に比べて、利用率は約2倍と高くなっており、お客さまの社会貢献意識の高まりを反映し、ご支持いただいています」と説明する。

グループ内決済が増加するセブンの「nanaco」

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セブン&アイグループのイトーヨーカドーではシニア世代のショッピングをサポートする「シニアnanacoカード」を発行
 一方、nanacoの利用促進については、現状、グループ内でのウェートが高く、「店舗内での地道な販促施策と相まって利用件数が伸びている」(セブン・カードサービス 執行役員 電子マネー開発部担当 磯邊俊宏氏)という。

 発表するリリースだけを見ると、nanacoはWAONに比べて外部企業との連携には後ろ向きに見受けられるが、「流通企業が発行する電子マネーは、各社の事業領域の中で便利に使われています。地域店舗や商店街において、便利に使われるのはこれからで、現在は“運命の分かれ道”に来ていると感じています」と磯邊氏は話す。

 すでに同社グループのセブン-イレブンにおいて、QUICPay、Edy、iDの利用を全国のセブン-イレブンでスタートしたように、同社では今後、加盟店が共通に利用できる決済インフラの整備を目指すという。

スマートフォンを利用したサービスに力を入れる「楽天Edy」

 電子マネーの草分け的存在である「Edy」を提供し、2010年1月に楽天グループ入りしたビットワレットは、ちょうど本日(2012年6月1日)から社名もサービス名も「楽天Edy」に変更する。従来からの汎用型電子マネーとしての良さを保ちつつ、名実ともに楽天グループとしての強みをアドオンする方針だ。

 具体的には楽天市場のほぼ全店舗にEdy決済を導入し、さらに楽天市場でEdyを使うと楽天スーパーポイントと紐づけているユーザーを対象にポイント付与率を2倍にした。

 Edyはすでに加盟店数は29万6,000店と、主要電子マネーの中でも最も多い。同社では、従来から重点的に展開している沖縄に加え、札幌、仙台などの地方での面展開を強化している。

 また、インターネット決済でのEdy利用にも力を入れており、「グリー(GREE)」などのデジタルコンテンツでの取り扱いが伸長しているという。

 最近では、「2011年の『auかんたん決済』でのKDDIとの提携やオートチャージ機能の提供など、スマートフォンへの取り組みを重点的に強化している」(楽天Edy 執行役員 最高戦略責任者 渉外・企画室 室長兼事業部門 国際事業推進部 部長 宮沢和正氏)。

 ソニー傘下ではシナジーを発揮しきれなかったEdyが、今後どこまで楽天のリアル店舗攻勢の先兵になれるのかは注目しておく必要があるだろう。

【次ページ】2013年の相互利用で顧客の利便性が向上する「Suica」
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