マクドナルド、食べログ、牛角のO2Oの取り組みとその成果は?
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外食産業でもインターネットやモバイル端末を利用してリアル店舗に顧客を送客している企業は数多い。古くからクーポンビジネスを展開しているぐるなびやリクルートライフスタイル(旧リクルート)の事例は以前紹介したが、「食べログ」を運営するカカクコム、3,300店舗を運営する日本マクドナルド、炭火焼肉酒家 「牛角」やしゃぶしゃぶ 「温野菜」などを運営するレインズインターナショナルでは、オンラインを活用した事前予約やクーポンなど、先進的なO2O(Online to Offline)に取り組んでいる。
国内の外食の事前予約で初の成功を目指すカカクコム
PCやモバイルなど、インターネットを利用した送客に力を入れる企業は数多い。以前は、紙媒体に印刷してクーポンを持参する形が一般的だったが、新たな取り組みにチャレンジしているのが日本最大級のグルメサイト「食べログ」を運営するカカクコムだ。
食べログは、2012年8月末現在、月間総ページビューが8億3068万PV、ユニークユーザー数は3,865万人を誇っている。従来の掲載型のクーポンなどとは違い70万店の飲食店を網羅。飲食店を検索する人の多くが、まず食べログで店舗を探しているため、オンラインからオフラインへの送客ができているそうだ。
同社では、2012年2月に、「食べログヨヤク」を立ち上げ、レストランのインターネット予約サービスをスタート。2012年8月末現在、掲載店舗は1075店舗となっている。これまでの食べログ検索でも店舗への送客は行われていたが、飲食店にとっても目に見える形で送客実績を把握することが可能となった。
カカクコム 食べログ本部 クライアント事業部長 中村哲朗氏は、「航空、ホテルなどの世界は、オンライン予約が浸透していますが、外食業界は、必ずしもそうではありません」とした上で、「まだ、国内の外食の事前予約で成功した事例はありませんが、ビジネスチャンスは十分にあると考えています。食べログヨヤクにより、外食の文化を変える貢献ができると思います」と意気込みを見せる。
カカクコムでは、食べログが事前に内容を確認した好条件のクーポンのみを、プレミアム会員に限定して提供する、割引率の高い特別クーポン「プレミアムクーポン」サービスを展開している。会員数は8月末現在約10万人で、ユーザーは、月額315円(税込)の利用料を支払うとプレミアム会員に登録され、常時掲載している約1,700店舗において20~75%の割引サービスを受けることができる。
飲食店にとっては、1人1回発行という制限が設定できるクーポンサービスのため、通常の割引集客と比較して負担が少ない。また、掲載の費用や手数料は無料で、長期的に活用できる効果の高い集客ツールとして好評を得ているそうだ。
「かざすクーポン」で成功したマクドナルドが事前予約を検証
一方、3,300店舗を全国で運営する日本マクドナルドでは、携帯電話やスマートフォンを活用した「かざすクーポン」「見せるクーポン」を展開しており、モバイルを利用したクーポンサービスの数少ない成功事例として有名だ。
「かざすクーポン」「見せるクーポン」を合わせて3100万人の会員を有し、従来の携帯電話の会員は2200万人。また、85%の会員が携帯やスマートフォンの利用者だ。
2010年秋からは、顧客の購買動向に合わせ、属性に合った情報を配信する「セグメントクーポン」をテストしている。展開する地域、時期なども不特定で、商品の中身も決まっていないが、「展開した地域での反応率は非常に高い」と同社では成果を感じている。
新たな取り組みとしては、鹿児島の25店舗と連携し、NTTドコモの従来の携帯電話にアプリケーションをダウンロードし、事前に注文を確定し、来店して読み取り端末にタッチするだけで注文が可能な実験を行っている。利用は、店内に加え、ドライブスルーでも可能だ。同社では、今回の取り組みにより、ピーク時の店舗内のオーダーにかかる時間をどの程度解消できるのかを検証している。
同取り組みでは、割引などのインセンティブは設けていない。また、クーポンの場合は、通常、マクドナルドが指定した商品の購入しか適用されないが、モバイルオーダーは全商品が対象となる。マクドナルドは昼の11時30分から13時までの回転率をいかに高めるかを重視している。たとえば、その時間に回転率を2倍短縮することができれば、収益構造自体の改善が見込める。現状、特定の人に限定したクローズドな取り組みとなっているが、客数や売り上げはアップするそうだ。
「弊社では『made for you』を提供しているため、顧客は便利になりますが、キッチンオペレーションがより大変になり、バランスを取るのが難しくなるといった課題があります。」(同社)
すでにリーダライタなどの機能は整備されており、同サービスにかかるコストはそれほどかかっていないそうだ。現在は専用のアプリをダウンロードしているが、全国展開の際はトクするケータイサイトの中に組み込まれる可能性もあるという。
【次ページ】見込み顧客や常連顧客に合ったオファーが必要
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