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  • 2012/08/24 掲載

ギフトカード市場で進むもう1つのO2O、リアル店舗はオンラインコンテンツの広告塔になるか?

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国内の電子マネーと言えば、「Edy」や「Suica」「WAON」といった非接触型電子マネーを思い浮かべる方も多いだろう。その裏で堅調に成長しているのが、サーバ管理型の「ギフトカード」や「プリペイドカード」だ。最近では、iTunesやグリー、モバゲーといったオンラインコンテンツを購入するプリペイドカードがコンビニなどで販売されており、一般の人も目にする機会が増えているのではないだろうか。この分野のパイオニア、オンライン電子マネーの「WebMoney」では、リアル店舗でも利用展開を開始するなど、「ギフト・プリペイドカード」分野のO2O(Online to Offline)が進展しつつある。
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オンラインのコンテンツをリアルで訴求

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ギフト・プリペイドカードサービスの仕組み
 米国では、贈答用として数多くの小売店が「ギフト・プリペイドカード」を販売している。日本でも遅ればせながら、日本百貨店協会の「百貨店ギフトカード」、TOHOシネマズの「TOHOシネマズ ギフトカード」、HMVジャパンの「HMVギフトカード」などが登場し、ギフト用途での利用が拡大しているほか、サブウェイの「サブクラブカード」やモスバーガーの「MOS CARD(モスカード)」、イズミヤカードの「miyoca」などは電子マネーとしても活用されている。

 ギフト・プリペイドカードを導入する企業側のメリットは何か。それはまず、データをサーバで管理するため、紙の商品券などに比べ、回収作業や集計作業の手間を省くことができるということが挙げられる。また、前受金という性格を持つためキャッシュフローの改善につなげることができ、さらには「最終利用日から1年間」といったように有効期限を設けることで、失効金額を退蔵益として計上できることが挙げられる。ちなみに、スターバックス コーヒー ジャパンでは、贈答されたカードをそのままとっておくという人も多く、1年間の失効益は1億7,100万円にのぼる(注1)。

 最近では、大手カード会社である三井住友カードが汎用的なギフトカードの発行を開始するなど、採用企業は順調に拡大している。また、ギフト・プリペイドカードの導入が広がりつつある理由として、他店舗で顧客のカード購入と同時にPOSレジでカードに金銭的価値の付与、カード発行企業の販売網の構築、販促施策の実施などを行う「ギフトカードモール事業」を展開する企業の増加が挙げられる。

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紀伊國屋書店におけるギフトカードモールの展開イメージ
 これまで国内ではイオン、西友、セブン-イレブン、ローソン、ビックカメラ、ヤマダ電機、ヨドバシカメラ、ソフトバンクショップなどが、実際の店舗の一角に、ギフト・プリペイドカードを並べたコーナー(ギフトカードモール)を用意するようになった。これらの店舗では、アップルの「iTunes Card」、任天堂の「任天堂プリペイドカード」、グリーの「GREEコインプリペイドカード」、アマゾンジャパンの「Amazonギフト券」などが販売されている。

 たとえば、あるオンラインゲームの会社では、ギフトカードモールでのカード販売により、ネットではリーチできなかったユーザーの獲得が可能となった。同社の会員は、40代~60代の高年齢層が圧倒的に多いため、インターネットでゲームを楽しむ人は少なかったそうだ。

 そのため、ネットだけではなくリアルの店舗で上手く訴求できる手段を模索しており、一部店舗ではCD-ROMの販売を行っていたが、在庫リスクを抱えるなどの問題があったという。そこで、ギフトカードモールでの販売により、流通店舗内のラックやレジ前など、目立つロケーションで自社の商品を宣伝することが可能となり、売上アップも実現できたそうだ。

クレジットカードからのオートチャージの浸透に期待

 従来、オンラインゲームやデジタルコンテンツの事業者は、リアルの店舗において自社のサービスを告知する方法は限られていたが、ギフトカードモールの普及により、オンラインのサービスをリアルで購入する機会が増えるとともに、自社サービスの告知にもつなげている。

 たとえば、インコム・ジャパンでは、大手小売業に対し、ギフト・プリペイドカードの陳列販売を行うPOSA(InComm’s Fastcard point-of-sale activation)の仕組みを提供しているが、「GREEコインプリペイドカード」を発行し、全国のセブン-イレブンなどで販売を行っている。

 同社は、世界に22万カ所を超える販売網があり、日本のオンラインコンテンツサービスを、世界に広げることが可能だ。今後、海外で事業を展開したい国内のオンラインコンテンツ事業者は、同社の仕組みを利用してコンテンツ販売を行う機会が増えると考えられる。

 また、利用者の利便性向上に向けて期待されるのが、ギフト・プリペイドカードへのオンラインチャージの浸透だ。非接触電子マネーのEdyやSuicaなどで採用されている仕組みだが、ギフト・プリペイドカードでは手数料率などの課題もあり、これまで浸透してこなかった。

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My STARBUCKSのページ。Web上から手持ちのプリペイドカードにクレジットカードでオートチャージなどが行える
 しかし、スターバックス コーヒー ジャパンが5月、プリペイド機能付き「スターバックス カード」の機能を強化し、オンラインチャージできる「My STARBUCKS」という会員向けサービスを開始。同カードの利用者は、会員専用サイトから、クレジットカード決済で入金できるようになった。また、指定金額未満になると、クレジットカード決済で追加の自動入金が行える。会員専用サイトでは、利用するスターバックス カードの残高を、登録している別のカードに移行するといったことも可能だ。

 ギフト・プリペイドASPサービスを提供する凸版印刷と富士通エフ・アイ・ピーでも、決済代行事業者のソフトバンク・ペイメント・サービスと連携し、クレジットカードからチャージできるシステムを構築している。

【次ページ】ネット用の電子マネーがリアル店舗でも利用可能に

注1 2012年6月6日から最後の利用日から3年間としていた有効期限を撤廃(2012年8月24日10:15更新)
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