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  • 2013/01/18 掲載

イオン Eコマース事業のトップ 小玉毅氏が語る、EC事業への覚悟と勝算

「O2Oという言葉は大嫌い」

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昨年、日本最大の小売企業グループに躍り出たイオン。全国に200以上ある大型ショッピングモールには、年間でのべ9億人もの来客数があるという。しかしネットビジネスに本格的に取り組み始めたのは2011年の夏からで、この分野では最後発組に相当する。こうした中、同社が考えたのは、まず9億人の顧客と“Webでつながる”ということだった。今後いかに独自性を出してEC市場に臨むのか。インプレスビジネスメディア主催の「ネットショップ担当者フォーラム」において、イオン Eコマース事業最高経営責任者の小玉毅氏が語った。

イオンのネットビジネスにおける第一歩は?

photo
イオン
Eコマース事業最高経営責任者
小玉毅氏
 小玉氏は1985年、イオンの前身であるジャスコに入社、リアル店舗の店長から経営企画、マーケティングの各部門、イオンマレーシアなどを経て2011年春より現職に就いた。

「私は25年、リアルな小売業の現場で仕事をしてきた。売り場が大好きで、ECの世界はまったくの素人だ。そうした我々のネットビジネスにおける第一歩は、やはり9億人のお客さまとWebで繋がること。それによって競争優位性を獲得できるのではないかと考えている。」(小玉氏)

 Webの進展はコミュニケーションをフラット化し、人間関係さえをも代替可能にしてしまった。今の人々が求めているのは、情緒的なつながりやコミュニケーションの場ではないか。小玉氏はそう問いかける。

「ショッピングモールは今や色んなシーンを提供する空間になっている。たとえば親子3代で買い物に出向き、終日快適な時間を費やすというのは日常的な週末の光景だ。またコミュニティ活動や社会貢献活動などの場ともなっている。そこにショッピングモールの社会的な好機がある。」

 ちなみに9億人というのはイオンの全ショッピングモールにおける1年間のレジ通過客数で、実際の来店者数はもっと多いという。

「イオンの歴史は約250年。これだけ長く続けてくることができたのは、我々が常にお客さま第一の視点でリアルな商売を営んできたからだと確信している。Webの世界でもお客さま第一をどうやって追求していくか。それが成功の鍵を握ると考えている。」

“消費者の集う場”として立ち上げた「イオンスクエア」

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 それではなぜリアルの小売業者がネットビジネスに参入しなければならないのか。

「とりもなおさず“お客さまが大きく変わったから”という理由以外に何もない。」

 約20年前まで小売業と消費者とのタッチポインは、ほぼ店舗に限定されていた。そこにイオンの圧倒的な競争優位性も存在していた。それが現在ではWebを含むさまざまなチャネルが登場し、消費者の買い物をする場面は劇的に変わった。もうリアル店舗だけで勝てる時代ではない。

「今後の10年間でWebのマーケットは約10兆円増えると予測されている。国内小売市場全体の規模が伸びないことを考えれば、何も手を打たなければ我々リアルな小売業は消えていかざるを得ない。この10兆円というのは、イオングループとセブンアンドアイグループの売上高を足した金額でもあり、この2社分に相当するリアルマーケットが消えるほどの大きなインパクトがあるということだ。」

 イオンは2011年、グループ全体の3か年にわたる中期経営計画を策定し、4つのシフトを推進し始めた。各々、アジアシフト、都市シフト、シニアシフト、そしてデジタルシフトだ。このうち、ネットビジネスに関係するのがデジタルシフトで、これまでほとんど投資をしてこなかったデジタル分野の遅れを一気に挽回し、Webの世界でもNo.1を目指そうというものだ。

 そこで2011年の夏からまず取り組んだのがEC基盤の構築だ。一緒に投資を行い、売上を分配するという日本ユニシスのレベニューシェアモデルを採用した。

「EC基盤を作るといっても、当時のイオンにはほとんど何もない状態だった。基本的に“持たざる経営”で行くしかないと考え、我々は一切資産を持たず、収益で投資を回収していくという方法を採った。」

 そして2012年8月、この基盤上に「イオンスクエア」というポータルサイトを立ち上げた。

「“お客さまの集う場”にしようということで始めたもので、最大の特色はリアル小売業のサイトであるにも関わらず、お買物サイトにしていないこと。お客さまに“モノを売る”のではなく“満足”を提供することに徹していく。」

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