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2021年10月、マツモトキヨシホールディングスとココカラファインが経営統合し「マツキヨココカラ&カンパニー」が発足した。かつてのトップ企業ながら、直近では業界6位となっていたマツモトキヨシが、ココカラファインとの統合でトップクラスに復帰した形だ。これまでもM&Aを繰り返しながら順位が目まぐるしく入れ替わってきたドラッグストア業界だが、同社の誕生により勢力図はまたも大きく変化した。競争激化するドラックストア業界で、今後どの企業が「大都市マーケット」で首位を獲得するのだろうか、どの企業が「郊外マーケット」で首位を獲得するのだろうか。
ドラッグストア業界の売上ランキング
マツキヨココカラ&カンパニー(以下、マツキヨココカラ)の発足は、業界へ大きなインパクトを与えた。2020年度売上の単純合計で見ると、1位ウェルシアホールディングスの9,497億円に次いで、2位に相当する9,233億円の巨大ドラッグストアグループが誕生したことになる。
なお、3位のツルハホールディングス(売上9,193億円)までを含む上位3社は、ともに売上高1兆円弱と、そのほか企業との差を大きく引き離し、ドラッグストア業界は3強が業界トップを巡って覇を競う様相となった。
ドラッグストアとしての主力商品である医薬品と化粧品の売上を比較して見ると、1位マツキヨココカラ(5,537億円)、2位ウェルシア(5,179億円)、3位スギ薬局(3,334億円)、4位ツルハHD(3,266億円)となり、マツキヨココカラはドラッグストアとして実質トップシェアを奪い返したと言っても良いだろう(図表1)。
2種類に分かれる経営戦略、「都市型」と「郊外型」の違い
ざっくり歴史を振り返ると、ドラッグストアは東京や大阪の都市部で始まり、薬局と化粧品店の品ぞろえを合体した店が支持されて、徐々に地方の都市部にも拡がっていった。
1990年代にはテレビCMでも知名度を上げたマツモトキヨシが、首都圏の分厚いマーケットを背景に、急速に業容を拡大して圧倒的なトップ企業となり、近年までその地位をキープしていた。
2000年代以降、地方で女性の自動車免許取得が進み、その乗り物としての軽自動車が普及したことによって、ロードサイドに女性向け業態の立地環境が整い、ドラッグストアは急速に地方にも浸透した。
全国各地で勃興した地方ドラッグストアは、競争と淘汰を経て生まれた有力企業を軸に合従連衡が進み、現在では上位6社でシェア6割弱を占める状態となったが、今後さらなる寡占化が進むと言われている。
そもそもドラッグストアは、都市型と郊外型のタイプに大別され、薬粧に強いマツキヨ、ココカラ、コクミン、ダイコクといった銘柄が都市型で、大都市の駅前や繁華街などを住処としている。
そのほかは郊外や地方のロードサイドを展開エリアとしたツルハ、コスモス薬品などを筆頭とする郊外型で、ウェルシア、スギ、サンドラッグなどはその中間に位置するといったイメージになるだろう。
郊外立地のドラッグストアは、繁華街でもない道端にある店に来店してもらうために、購買頻度の高い食品や生活雑貨を廉価販売で誘い込み、ついでに薬粧を買ってもらうという集客術を使う。コスモス薬品などはその代表格で、その売上の6割程度は食品や雑貨で占められている。
一方、都市型のドラッグストアはその原型である薬粧中心の品揃えを維持して今にいたるが、地方や郊外ではロードサイド用のアレンジが進み、食品や雑貨により集客するスタイルが中心となっているため、両者はかなり見た目も異なる。
このように、「都市型」と「郊外型」は、品揃えや店舗フォーマットが異なるため、異なるエリアへの進出はそう簡単ではないのだ。
それでは、都市型2社の統合で誕生したマツキヨココカラは、大都市マーケットにどのようなインパクトがあったのだろうか。ここからは、国内主要都市の各ドラッグストアの店舗数を比較しつつ、勢力図を整理したい。
【次ページ】マツキヨココカラ誕生で都市圏シェア激変、首位獲得したのは?
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