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- 2022/04/18 掲載
軒並み減収減益から1年、始まった「スーパーの逆襲」。業界トップ2社の挽回策とは
窮地から1年足らず。対抗策を打ち出した業界トップ2社
2021年第1四半期に明らかになった中国既存スーパーの大幅な減収減益。もはや、店頭販売だけでは大手スーパーでも生き残っていけないと業界に激震が走った。その後も、業績が回復している兆候は見られない。しかし、業界1位の永輝(ヨンホイ)、2位の大潤発(RTマート)ともに、わずか1年足らずで対抗策を打ち出している。この反転攻勢の策が功を奏するかどうかはまだこれからのことになるが、このスピード感は素直に驚嘆するしかない。
既存スーパーに立ちはだかる強敵、4つの新業態
既存スーパーが軒並み業績悪化したのは、ライバルがあまりにも多く登場したことによる。2016年以降、次のようなライバルが次々と登場してきた。生鮮ECは、生鮮食料品をスマートフォンで注文すると30分で配達してくれるサービス。テンセント系の「毎日優選」(ミスフレッシュ)、独立系の「ディンドン買菜」が大手だ。消費者は実物を確かめずに買う形態ということもあり、新しいサービスが好きな若年層単身者を中心に利用されている。このような客層は、既存スーパーとは大きくは重ならないため、既存スーパーへの影響はさほど深刻ではなかった。
しかし、2017年からアリババが展開した新小売スーパー「盒馬鮮生」(フーマフレッシュ)の登場により、既存スーパーの業績にも影響が出始めた。アリババは、スマホ決済「アリペイ」の購入履歴データの分析から、購買力の高い消費者が住む地域を割り出し、そこを選んで出店を進めた。対象となる消費者は、高収入でデジタルリテラシーも高く、店舗でも宅配でも自分の都合に合わせて生鮮食料品が購入できる新小売スーパーは受け入れられ、既存スーパーは購買力の高い消費者を奪われてしまった。
さらにコロナ禍以降、「社区団購」というご近所同士でまとめ買いをするECサービスが急拡大した。これは、前日注文により配送量が確定するため、物流が簡素化されることで、商品を低価格で提供できることが強みだ。テック企業の参入が相次ぎ、結局、生活サービス全般を提供している美団(メイトワン)がリーダーになりそうな勢いだ。
誰でもまとめ買いの代表者になることができ、代表者以外が注文した商品は代表者のいる拠点に配送されてくるので、そこに受け取りに行く。新型コロナの感染が拡大すると、マンションの有志で加入し、マンション事務室などに配達してもらうことが流行した。スーパーに行かなくても、マンション内の移動で食料品を手にすることが可能になったため、既存スーパーは店頭に来てくれるお客さんまで奪われてしまったのだ。
さらに、コストコ、ウォルマート系のサムズクラブなどの会員制ホールセールクラブが大都市を中心に出店し始めている。ケース買いをすることで安くなるため、車を持っている人はまとめ買いや、ご近所とシェアをする。既存スーパーは、自動車で来て大量購入してくれるお客さんまで奪われ始めている。
このようなライバルの登場に、既存スーパーは手をこまねいていたわけではなく、鋭敏に反応している。
【次ページ】コロナ禍ですべてが裏目に出た業界最大手「永輝」
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