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  • 2012/02/09 掲載

ASEAN進出の最新動向、非製造業の成功条件は何か?

マクドナルド、HSBC、リクルート、サイゼリア、ユニクロの成功事例

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これまで日本企業は、安価な労働力を目当てに、製造業の拠点として新興国への進出を果たしてきた。昨今では、シンガポール、タイ、ベトナム、マレーシア、インドネシアといった「ASEAN(東南アジア諸国連合)」に熱視線が注がれている。ASEANはメーカーの生産拠点という側面だけがクローズアップされているわけではない。消費市場としての存在感がますます高まるものと予想されており、サービス業を中心とする非製造業の有望なマーケットとして捉える動きが加速している。しかし欧米に比べ、日本の非製造業の進出は出遅れており、日本ブランドの訴求力が限定的であることも事実だ。日本の非製造業の海外展開の成功の指針となるものは一体何であろうか?

日本の非製造業が注力していきたいエリア・国とは?

 野村総合研究所(以下、NRI)は先ごろ、国内の大手消費財メーカー、およびサービス産業の企業を対象に、「消費財メーカー・サービス産業の海外展開に関する調査」を実施した。今後、日本の非製造業が海外に進出する際に、どのような国が有望で、何が成功の鍵となるかを浮き彫りにしたアンケートである。まずは、この結果から見ていこう。

 すでに海外進出している、あるいは海外進出を検討している国や地域は図1のような割合になっている。非製造業分野の企業で海外展開している国は、中国が最多の71.9%を占め、次いでASEAN諸国が50.0%、米国が45.8%と続く。一方、これから海外進出を検討している企業では、ASEAN諸国が60.3%とトップであり、同エリアは中国と同様に有望視されていることが裏づけられた。

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図1 日本の非製造業の海外進出先。左は進出中、右は検討中の企業の結果。進出している、あるいは海外進出を検討している国・地域、いずれも中国とASEAN諸国が多いことが分かる

 具体的にはタイ、ベトナム、マレーシア、インドネシア、シンガポールの順で人気がある。シンガポールは、すでに先進国並みにサービス産業化が進んでおり、伸びしろは小さいが、シンガポール以外のASEAN諸国では、GDPの伸びにあわせてサービス産業化も加速すると予測され、非製造業が進出しやすい経済環境が整備されそうだ。

 実際に今回の調査では、回答企業のうち約半数が2000年以降に海外展開を始め、その後2005年以降も3割の企業が海外進出を果たしている。「この流れに乗り遅れないようにしたいと考えている企業も多い」(NRI コンサルティング事業本部 消費財・サービス産業コンサルティング部 倉林貴之グループマネージャー)。

基本条件その1~「海外展開におけるノウハウの蓄積」

 では海外展開に必要となる具体的な条件とは、一体どのようなものであろうか? NRIは、海外進出した企業が「成功した理由」と「失敗した理由」について分析し、図2のようなマッピングを行った。これにより「失敗しないために必要なこと」「成功するためにあると有利に働くもの」「状況によって必要なもの」という3つの領域が、海外進出のポイントになることが分かったという。

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図2 海外進出した企業が成功した理由と失敗した理由でマッピングしたもの。「失敗しないために必要なこと」「成功するためにあると有利に働くもの」「状況によって必要なもの」という3つの領域がポイントになる

 失敗しないために必要なこととしては「海外展開におけるノウハウの蓄積が条件」(高野悠哉コンサルタント)に挙げられる。そのためには、初めての進出地を足掛かりとして事業基盤を築けるかどうか、進出先をしっかりと見極めることが重要なポイントとなる。NRIのアンケート結果(図3)から、(成功の割合-失敗の割合)を見ると、マレーシア(35.7%)、香港(31.3%)、台湾(28.6%)、シンガポール(25.9%)の順に評価が高いことが分かる。これらはいずれも華僑文化圏で、制度面・文化面でもハードルが低かったり、外国企業に対して寛大な側面を持っている国だ。まず、このような国から進出し、「ノウハウを蓄積してから他国へ打って出るのが良い」(高野氏)。

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図3 海外進出の結果。右は、成功の割合ー失敗の割合を示したもの。マレーシア(35.7%)、香港(31.3%)、台湾(28.6%)、シンガポール(25.9%)の順に評価が高い。これらは、いずれも華僑文化圏である

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