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2016年末に、アマゾンが無人店舗「Amazon Go」を米国シアトルで開店して、にわかに注目された無人店舗技術。中国でも無人コンビニが登場し、大きな話題となったが、その後、メディアが取り上げることは少なくなっている。無人店舗のメリットは「人件費削減」が注目されがちだが、それだけではない。「機動力」「24時間化」「非接触」など、さまざまな角度からそのメリットと各社の強みを掛け合わせたビジネスが生まれている。無人店舗ビジネスが再び熱を帯び始めた。
「無人コンビニ」は注目が薄れた?
2016年12月に、アマゾンが無人コンビニ「Amazon Go」を米国シアトルの本社内に開設したとき、中国ではすでに無人コンビニがオープンしていた。繽果盒子(ビンゴボックス)は2016年8月に広東省中山市に1号店をオープンし、続いてアリババが杭州市で期間限定の実験店舗「タオカフェ」を開設。にわかに無人店舗テクノロジーが注目されることになった。
ビンゴボックスは、1年で5000店舗展開という無謀とも言える計画を発表して、投資家の目を引いた。しかし、実際は、2018年夏に40都市400店舗をピークに縮小し、現在は28都市展開にとどまっている。このようなことから、「無人コンビニは時期尚早」「投資資金を集めたいだけの案件」と言われるようになり、無人コンビニというジャンルはフェードアウトしたかのように見えた。
無人コンビニのメリットは言うまでもなく店舗スタッフの人件費が不要になることだ。一方で、商品管理のコストが必要になる。多くの場合、電子タグで管理し、セルフレジで決済をしてもらう。あるいはAmazon Goのように画像解析を利用して、誰がどの商品を手に取ったかを認識し、レジレスで決済を行う。人件費の削減とこのような無人テクノロジーのコストはどちらが多いのだろうか。
ビンゴボックスでは、電子タグの製造、取り付けコストは1商品あたりわずか0.1元から0.3元(約5円)の範囲内で、電子タグが普及することで、このコストは限りなく0に近づいていくとしていた。しかし、ビンゴボックスの狙いは、人件費の削減もさることながら、店舗の「機動力」だった。
機動力を狙ったビンゴボックスのビジネスモデル
スナック類、飲料などの買い物は、コンビニ、個人商店、自動販売機のいずれかで済ませる人が多い。中国の場合、コンビニは約3,000元(約5万円)の日商が損益分岐点で、個人商店でも約2,500元程度。これが自動販売機になると一気に約50元(約800円)と小さくなる。ビンゴボックスは、この空白地帯である300元から2,000元の日商を狙うように設計されたビジネスだった。
ビンゴボックスの店舗はコンテナ型で、中型が4.8m×2.6m、大型が6.0m×2.6mと店舗としては小さい。隙間スペースに置き、電源を確保して、商品を搬入すればオープンできる。開店コストは一般コンビニの1/4以下になる。
SKU(Stock Keeping Unit=商品品目数)は、コンビニが3000程度であるのに対し、ビンゴボックスは最大で800にすぎない。「無人コンビニ」というよりも、「無人キヨスク」と表現した方が適切と言える。
大規模マンションや企業、キャンパス、工場、公園などの隙間スペースに出店できる他、イベントに合わせて出店し、終われば撤退するという臨時売店としても活きてくる。なかなかうまく練られたビジネスモデルで、5000店舗出店計画も無謀とも言い切れなかった。
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