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- 2015/02/12 掲載
オムニチャネルの先駆者、東急ハンズの長谷川秀樹執行役員が語る「勝てるIT」の真髄
リアル店舗に強いブランド力を持つ東急ハンズだからこそ
東急ハンズは、実店舗やECサイトなどのあらゆる販売チャネルや流通チャネルを統合するオムニチャネルに積極的に取り組む会社の一つだ。2005年にECサイトを開設し、2014年11月には、同社のハンズクラブカード会員向けの新しいスマートフォンアプリとして、「東急ハンズアプリ」の提供を開始した。これは、ポイント管理などの機能に加え、リアル店舗で気になる商品のバーコードをスマホでスキャンして「ほしいものリスト」に入れ、後日通販サイトから購入したり、店舗在庫の確認や店舗の商品を「取り置き」できる機能などが備わる。「東急ハンズという業態上、商品の多くは今すぐ必要な性質のものではない。その一方で、店頭で見かけた商品で、いいと思ったものをスキャンして、5,000円超えたら送料無料で自宅に届けてもらえるという買い方が意外としっくりくる面がある」(長谷川氏)
2008年に同社の情報システム部長に就任した長谷川氏は、常にビジネスの身近に顧客がいるという事業会社の強みを活かし、IT部門を「ビジネスに直結する」組織へと変革してきた。
「売上目標」がIT部門を攻めのマインドを持つ組織へと変える
「ITの役割が業務部門ごとに縦割りにならないように一つにまとめたほうがいいと考え、ちょっとでも“通電”している業務があったら全部IT部門に吸収するというふうに、部下にも仕事はどんどん拾ってくるよう目配せした」(長谷川氏)
次に、長谷川氏はEC事業のテコ入れに取り組む。当時のEC事業は、リアル店舗の旗艦店が約17万点の品揃えであるのに対し、約1万点と圧倒的に商品点数が少なく、またEC専用の倉庫費が事業を圧迫していた。長谷川氏は、「10万点を目標に品揃えを増やし、専用倉庫を廃して新宿店から商品を発送するよう」物流を変える。
ECについては“ずぶの素人”だったと語る長谷川氏だが、こうした施策に加え、アマゾンや楽天など通販サイトへの販売チャネルの拡大や、業務効率化を進めていった結果、2005年に立ち上げられたECサイトは、年商数千万円程度からスタートし、2014年には年商約10億円と、全体の売上高の約1%を占める規模にまで着実に成長を続けている。
長谷川氏は、組織としてのIT部門が超えるべきハードルとして、「売上をあげること」の重要性を以下のように述べている。
「攻めのマインドといっても、売上目標が立って販売費予算がつかないと、『自分たちには売上は関係ない』と無意識のうちに姿勢が守りに入る。だから、IT部門はまず、売上をあげることを目標にするのがよいのではないか」
【次ページ】事業会社のIT部門という強みを発揮する
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