富士通・日立・NECの「マーケットプレイス」責任者も登壇
0
会員になると、いいね!でマイページに保存できます。
クラウドの考え方が登場したとき、中堅・中小企業でのIT活用が広がると期待を集めたが、ここにきて大きな課題に直面している。クラウドサービス推進機構(CSPA)の松島氏は、それを「自家取引モデル」と表現する。クラウドサービスは安価ですぐに使える一方、ユーザーのセルフサービスによって成り立っていることが多い。つまり、ほとんどユーザー側に丸投げになっているため、これまでITを十分に活用できていなかった企業には、その利便性は行き届いていないというのである。今、こうした根の深い課題に、業界を挙げて本格的に取り組む動きが出てきた。
日本再生のカギは中小企業のクラウド活用にあり!
日本商工会議所、全国商工会連合会、全国中小企業団体中央会、中小企業基盤整備機構関東本部、ITコーディネータ協会、経済産業省(予定)など、名だたる公的団体・大学・民間のITベンダーが産官学一体となって、中小企業のIT活用を支援していくプロジェクトが12月5日に発足した。クラウドサービス推進機構(CSPA)らが中心になって立ち上げた「地域支援プロジェクト~創生する未来~」だ。
本プロジェクト発足の理由を、CSPAの松島氏は「中小企業では、いくらクラウドサービスが安くても、すぐに使えるわけではない。現在のクラウドサービスは、ユーザーがサービスを買う“自家取引モデル”が中心で、いわばユーザーに丸投げの状態。そのため、クラウドを活用できている企業は、経営者が自ら動いているところであり、多くの中小企業では、何らかのサポートがなければ導入できない」と説明する。
そこで、この“自家取引”のサービス体系を、関係団体や国内の大手ITベンダーなどとともに変えていこうというのである。クラウド・モバイルの普及や政策課題として、「地方」や「中小企業活性化」がキーワードとなってきていることも後押しした。
このプロジェクトには「全国各地の中小企業のIT/クラウドの普及・啓蒙を推進する」「経営に役立つIT/クラウドの利活用推進をサポートし、企業の業績を高める活動を行う」という2つのポリシーがあるという。
事務局を担当するノークリサーチの伊嶋氏は「本事業は、中小企業の経営活動をサポートするのが大きな狙いだ。全国の中小企業が元気になれば、日本も再生する」と狙いを語る。
さらに伊嶋氏は、「以前から多くの中小企業でITツールが導入されているが、まだ経営に役立つ形で十分に活用しきれていない。そこで本事業で産官学が一体となって地域の視点から中小企業を支援していく。また中小企業の経営者向け専門Webマガジン“小さな組織の未来学”(日経BP社)との連携も図る方針だ」と説明した。
具体的には、IT活用を一歩前に進める試みとして、地域ごとのセミナーや講演会、IT指導・経営指導などを行っていくという。最終的に、地域創生の実現に向けた支援を目標に掲げて、来年2月を目処に1回目の活動を開始する。東京・名古屋・大阪・札幌・仙台・福岡ほか、全国の政令指定都市や、オプションとして地方都市での活動も適宜スタートさせる予定だ。
「マーケットプレイス」は突破口となるか?
一方、ベンダー側も手をこまねいているわけではない。富士通、日立、NECの国内ベンダー主要3社も「クラウド型マーケットプレイス」を展開している。B2Cのマーケットにアマゾンや楽天があるように、B2Bでクラウドサービスを手軽に利用できる仕組みがあってもよい。その1つの形態としての「マーケットプレイス」だ。
「地域支援プロジェクト創生する未来」の発足に合わせて、浅香直也氏(富士通マーケティング)、山野浩氏(日立システムズ)、及川典子氏(日本電気)の主要3社のキーパーソンが登壇するパネルディスカッションも行われた。
【次ページ】厳しい調査結果、どのような解決策がある?
関連タグ