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- 2024/04/22 掲載
2024年GWのインバウンド、10日間で消費される「驚きの金額」とは
連載:「コロナ後のインバウンドの行方」
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2024年は過去最高か、力強く回復するインバウンド
訪日外国人(インバウンド)が力強く回復している。2024年1~3月のインバウンドはコロナ前の2019年1~3月比6.3%増の856万人と滑り出し好調で、2024年通年でも過去最高の3188万人(2019年)を更新する可能性が高い。コロナ前に客数・旅行消費額の両面で主役だった中国客の戻りが悪いにもかかわらず、インバウンドは驚くべき回復を見せている。背景には文化・自然資源に恵まれた旅行先としての日本の魅力に加え、諸外国に比べあまり物価が上昇していないこと・円安によるお得感がある。今や日本はG7構成国とはとても思えない格安料金で、素晴らしいサービスや食事を堪能し高水準の商品を入手できる、世界でもまれに見るお得な国なのである。インバウンドが押し寄せて来るのも無理はない。
だが、その一方でインバウンド急増は宿泊料金の高騰、観光地の混雑などの副作用も生み出している。
そこでふと疑問がわいてくる。この調子でいくと、今年のゴールデンウィークはどうなるのだろうか。
「惨事」となるか?ゴールデンウィークのインバウンドを占う
日本人にとって、GWはお盆、年末年始と並ぶ大型休暇である。お盆は暑く、年末年始は寒いのに比べて、GWは気候が良く観光に適している。ただでさえ道路が渋滞し、電車も観光地も大混雑なのに、インバウンドが大挙して現れたら一体どうなるのだろうか。ただ、当たり前だが、GWはインバウンドにはあまり関係ない。GWはあくまで日本人の長期休暇期間であって、海外でこの時期めぼしい連休があるのは、中国の労働節(2024年は5月1~5日の5連休)くらいである。ほかの多くの国・地域のインバウンドは、気候が良いなどほかの理由でたまたまこの時期にやって来るにすぎない。
コロナ前の2017~2019年の3年間のインバウンド月次推移を見ると、ピークはだいたい夏休みの7月だった(図表1)。これ以外に桜需要(3~4月)、紅葉需要(10~11月)、雪需要(冬期)があり、意外にもGWのインバウンドはそれほど多くない。
問題は、(1)GWは日本人が大勢観光する、(2)宿泊施設、運輸業(タクシー運転手、空港職員など)、飲食業など観光関連業では、コロナ禍を契機に離職した人も多く、普段から人手不足である、ということである。ここへインバウンドが2019年を超える水準で現れるとダメ押しとなり、ホテル代は高騰、人気観光地は激混み、タクシーは捕まらず、評判の飲食店は長蛇の列という「惨事」も予想される。
もちろんインバウンドに罪はない。彼らはたまたまGWに来るだけである。
プラス面に目を向けよう。中国客の戻りが相変わらず鈍いにもかかわらず、2023年のインバウンド旅行消費額は5.3兆円と過去最高を更新した。この勢いが当面続くという前提でGW期間中の消費額を試算してみる。
2024年のGWは、4月27日~29日の3連休と5月3日~6日の4連休に分かれているが、ここでは5月の10日間でどのくらい消費されるかを考える。 【次ページ】5月の10日間でどのくらい消費されるか?
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