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- 2016/04/12 掲載
人脈が豊富でも「情報弱者」になりうるのはなぜか? 構造的空隙理論で図解する 篠崎彰彦教授のインフォメーション・エコノミー(73)
豊富な情報に接しているのは誰か
まず、人脈と情報の流通を概念図で示しておこう。図1は、人的なつながりを現したネットワーク構造で、人を点で示しその結びつきが線で描かれている。さて、この図の中でより豊富な情報を得ているのは、A氏とB氏のどちらであろうか。
人脈が豊富なA氏の情報が乏しい?
ネットワーク理論では、「中心」について、いくつかの概念がある。その一つは、他者とつながる数の多さでみた「次数中心性」だ。たとえば、図1のA氏は9本の線で他者と結ばれており、わずか4本しかつながっていないB氏と比べて次数中心性が高い。より多くの人とのつながりがあるA氏は人脈が豊富で、その人的ネットワークから得られる情報量は多そうだ。
他方、次数中心性が低く、人脈が広いとはいえないB氏は、A氏の半分以下の情報ルートしか持っておらず、それほど多くの情報には接していないように思える。
ところが、たくさんの人脈があるA氏には落とし穴があり、必ずしもB氏に比べて情報が豊富というわけではない。それどころか、むしろ情報の中身は乏しいとさえいえる。
大量の同質的な情報がせわしなく巡回するワナ
それをわかりやすくするために、図1の人脈図をグループ別に色分けしたのが図2だ。これをみると、A氏は確かに9つのルートで情報を入手できるが、それらはいずれも黒で色分けされたグループに属している。黒で色分けされたグループには12人のメンバーが存在し、本人以外に11人と関係性がある。その中で、A氏は9人とは1ステップで、2人とは2ステップでつながっており、次数中心性のみならず、グループ内での「近接中心性」(どれだけ少ないステップ数で他者とつながるかを示す指標)も高い。
しかも、黒で色分けされたグループの範囲内であれば、A氏をハブとしてメンバーを最短経路でつなぐことが容易であり、グループ内の「媒介中心性」も高いといえる。
しかし、そこに落とし穴がある。A氏が接するのは、グループ内で流通している同質的な情報ばかりだからだ。いかに多くの情報であろうとも、同じような情報が大量に巡っているだけならば、単調な情報のせわしない繰り返しに過ぎない。
つまり、A氏の情報は量的には多くても、重複が多く、内容の幅広さ、多様さという点では、必ずしも「豊富」とはいえないのだ。
【次ページ】多彩な情報をつなぐ「構造的空隙」はイノベーションのカギ
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