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- 2025/03/21 掲載
AIは経済にとって「敵か味方か」問題に決着?知らないと結構ヤバい「8つ」の論点
篠﨑教授のインフォメーション・エコノミー(第180回)
到達間近のAI「知能爆発」とは
前回触れたように、サンフランシスコで今年1月に開催されたASSA(Allied Social Science Association)の年次総会では、“Economic Implications of AI” や ”AI and the Future of Work” などAI関連のプログラムが数多く用意されていた。イノベーションの渦中にあるAIは、論者によって定義や捉え方がさまざまで、AIエージェント(AI systems that can autonomously perform entire workflows)、AGI(Artificial General Intelligence、汎用人工知能)、Human-level AI(HLAI)、Transformative AI(TAI)など多義的な面があったのは事実だ。
とはいえ、どの登壇者もAIの進歩が今後さらに加速していくとの見通では一致していた。用語の使い方は区々だが(たとえばgeneral reasoning、problem-solving、abstract thinking、creativity, emotional intelligence、recursive self-improvementなど)、間もなく“intelligence explosion(知能爆発)”が起きるとの発言が相次いだ。
2025年は労働市場に「AIエージェント」爆誕か
MITからスタンフォード大学に移籍したBrynjolfsson教授は、早ければ2031年にもHuman-level AIが出現すると強調し、ある登壇者は、今後2-5年でAGIが実現するとの見通しを示していた。AGI実現の時期について、2020年時点の予測では2062年だった中央値が、2022年には2042年、2024年には2032年と前倒しになっていると指摘した上で、2025年(つまり今年中)に労働市場でAI Agentsが実現するというOpenAI創業者のサム・アルトマン氏の最新予測も紹介されていた。
実際、アルトマン氏は、2025年1月6日付のブログ投稿で次のように述べている。まるで、OpenAIのDeep Resarchに続いて中国のスタートアップ企業ManusによるAIエージェントが出現することを予見していたかのようだ。
“We are now confident we know how to build AGI as we have traditionally understood it. We believe that, in 2025, we may see the first AI agents “join the workforce” and materially change the output of companies. We continue to believe that iteratively putting great tools in the hands of people leads to great, broadly-distributed outcomes.”【次ページ】AIが経済に及ぼす影響の「8つの論点」とは(出所:サム・アルトマン氏公式ブログ(2025年2月23日閲覧))
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